著者
松永 和彦 持田 徹
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.40-48, 2003
参考文献数
19

自動車用の評価指標として用いられている等価温度の分析を行っている。本報告では、身体の内部から環境までの熱移動を系統的に考えることにより、新たに等価温度を導いた。等価温度は、その定義式の中に人体の対流熱伝達率、放射熱伝達率、着衣量などがパラメータとして表示されており、Madsenらの等価温度において、定数値と扱われている3つの項に掛かる係数の内部構造を明らかにしている。内臓、骨、筋肉、血液などをマクロにみた、体心から皮膚表面までの相当熱抵抗の取りうる範囲を、体心温、皮膚温、気温、湿度、活動量の組み合わせを考えて検討した。その結果、この等価温度式では、風速が変化した場合、Madsenの等価温度式では気温の項は、実際よりも影響が小さく、平均放射温の項は、実際よりも影響が大きくなることを確認している。等価温度の適用範囲、有効性を検討した結果、暖房環境で使用する限結果的には大きな差が無いことを確認している。