著者
松浦 桂 山本 隆一郎 野村 忍
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.17-22, 2009-04-25

本研究では,ストレスークリーナー(SC-SX:株式会社テクノスジャパン製)の心理・身体的リラクセーション効果を検証した.対象者は44名(男性20名,女性24名,平均年齢34.14歳,SD=11.58歳)であった.対象者は,SC-SXの音楽付映像AおよびBを順に視聴した.心理指標の測定には,対象者の気分状態が用いられた.気分状態の測定には,Profile of Mood State短縮版(POMS:横山,2005)を用い,映像視聴前(T1)・A視聴後(T2)・B視聴後(T3)の3時点で回答するよう教示された.POMSは,緊張-不安(Tension-Anxiety:T-A),抑うつ-落ち込み(Depression-Dejection:D),怒り-敵意(Anger-Hostility:A-H),活気(Vigor:V),疲労(Fatigue:F),混乱(Confusion:C)の6つの下位尺度から構成され,総合的な気分状態(Total Mood Disturbance:TMD)は,Vを除く全ての下位尺度を合計した点数からV得点を減じて算出された.生理指標の測定には生体信号(筋電位)が用いられた.生体信号は,周波数解析(FFT)を行われた後,2Hz〜40Hzのパワー値が3時点について記録された.記録された生体信号は,全て積算され,平均を求めたものがPCの画面上へ100指数で表された(以下,NB値:Numerical of biological signal).統計解析には,映像視聴時期を独立変数,POMSの各下位尺度得点平均値・総合得点(TMD)平均値・NB値平均値を従属変数とする1要因3水準の反復測定分散分析を用いられた.全ての下位尺度,TMD,NB値において,映像視聴時期の主効果が確認されたT-A,A-H,F,C,TMD:p<.001,V:p<.01,D:p<.05,NB:p<.10).単純主効果(Bonferoni法)の検討を行った結果,T1-T2において,全ての下位尺度およびTMDの有意な低減が確認された(ps<.05).T1-T3においては,D以外の全ての下位尺度およびTMDの有意な低減が確認された(ps<.01),また,T2-T3においては,T-AおよびNB値に有意な低減が認められた(緊張-不安:p<.01,NB:p<.10).以上の結果から,SC-SXの心理・身体的リラクセーション効果が確認された.