著者
松澤 孝男 河原 永明 長本 良夫 山本 茂樹 森 信二 添田 孝幸
出版者
茨城工業高等専門学校
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1995

我々の勤務する茨城工業高等専門学校は、日本原子力研究所東海研究所の研究用原子炉群や、日本原子力発電(株)の発電用原子炉、原研大洗研究所の材料試験炉、高温ガス炉、動燃大洗工学センサーの高速増殖試験炉「常陽」、原研那珂研究所の核融合試験炉JT-60に囲まれたひたちなか市に存在する。本校の学生の就職先として、“地場産業"であるこれら原子力関連企業や研究所を選ぶ者も多い。ところが、本校の学生の放射性同位元素や放射能に関する興味・関心は低い。学生及び教職員に環境中の自然放射能の存在と量を認識させることを試みた。CR-39というプラスチック板を固体飛跡検出器とするラドンガスモニター(ラドトラック)を学内の様々な居住空間に吊しラドン農業を測定した。算術平均29.7Bq/m^3、幾何平均21.3Bq/m^3であった。ラドン農業の分布は対数正規分布であった。次に、茨城県全域に点在する本校の学生の自宅178軒の学生の寝室のラドン濃度の測定を同じラドンガスモニターでおこなった。ラドン濃度の分布は学校と同じく対数正規分布であったが、幾何平均10Bq/m^3、幾何標準偏差2で、放医研の全国データや本校の居住空間のデーターのラドン濃度の1/2ないし1/3であった。このようにして自然放射線の存在を実感(認識)させた後、更に学生が自ら進んで放射線や放射能・原子力のことを調べることができるよう助言を与えた。(A)政府機関が情報公開やPAのため無料で公開している次のパソコン接続によるデーターベースへの接続方法の説明と検索結果を示した。[1]JOIS(NUCLEN、原子力情報)[2]アトムネット、(財)(NUDEC)、[3]原子力百科事典ATOMICA(B)学生に、放射線測定機器の無料貸出しの紹介を行なった。シンチレーション式サーベイメーター(はかるくん)、放射線計測協会(C)各種資料館の紹介、[1]茨城原子力センター展示館、[2]動燃展示館(アトムワールド)、[3]日本原電東海発電所展示館(東海テラパーク)、[4]見学バス(D)外国旅行する学生・教職員へ線量計による自然放射能の計測依頼(タイ、中国、南極)(E)RI教育用のビデオテープの購入・視聴(「アイソトープとは」日本アイソトープ協会)(F)新聞・テレビ報道に現れた放射線・原子力関連の事項の紹介と説明(FBR,もんじゅ)