- 著者
-
関根 恵理香
金泉 志保美
- 出版者
- 国立大学法人 群馬大学大学院保健学研究科
- 雑誌
- 群馬保健学研究 (ISSN:13434179)
- 巻号頁・発行日
- vol.42, pp.11-20, 2022 (Released:2022-04-01)
- 参考文献数
- 13
本研究は,発達障害児・者のきょうだいに関する先行研究の概観により,研究の動向を明らかにし,今後の研究課題を検討することが目的である。研究方法は,医学中央雑誌 Web 版(ver.5)を用いて,「発達障害」,「きょうだい」をキーワードとして検索し,17件の文献を分析対象とした。きょうだい自身を研究対象としている研究が最も多く,診療録や文献を対象としたものも若干見られた。発達段階区分別の内訳については,各区分で散見していたが,学童期以前を対象とした研究は少なく,思春期のみを対象とした文献は抽出されなかった。記述内容を質的帰納的に分析した結果,研究内容として【きょうだいの心理的反応やその影響要因】,【きょうだいが同胞との関係を構築する過程】,【きょうだいが捉える同胞およびその障害や家族像】,【専門職によるきょうだいへの支援の分析】,【きょうだいが発達障害の同胞のいる生活へ適応する過程】,【成人きょうだいの体験や思いに関する事例研究】の6カテゴリーが形成され,きょうだいの体験は周囲の人々のかかわりから様々な影響を受けていることが明らかになった。今後は,体験や経験が未だ十分明らかとなっていない思春期のきょうだいを対象とした調査を検討していくことが課題である。