著者
松田 愼也 Shinya Matsuda
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.433-443, 2000-03

律蔵における厠での作法,とりわけその浄化儀礼において,7世紀末,長期のインド留学から帰唐した義浄のもたらした根本説一切有部のそれは,極めて特異かつ複雑であり,5世紀前半に訳された他の漢訳諸律との相違が大きい。本稿は,その理由を探るため,諸律における厠の具体的な構造を明らかにし,そこで行われる作法の比較検討を試みた。