著者
久保 公利 松田 宗一郎 間部 克裕 加藤 元嗣
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.39-43, 2019 (Released:2019-06-03)
参考文献数
10

【症例】80歳,男性【主訴】脱力感、歩行困難【現病歴】2017年9月末より大腿部の痛みを認め、近医整形外科に入院したが譫妄のため数日で退院となった。10月に近医精神科を受診し、アルツハイマー型認知症と診断された。その後脱力感が出現し歩行困難となったため、10月31日に当院入院となった。【既往歴】洞不全症候群(2007年)、腰部脊柱管狭窄症(2014年)、アルツハイマー型認知症(2017年)【経過】発熱と炎症反応の高値を認め、感染症を疑い抗生剤治療を行ったが解熱せず投与を中止した。抗核抗体、リウマチ因子、抗CCP抗体は陰性だった。Gaシンチグラフィで両側肩関節と右膝関節に集積が認められた。リウマチ性多発筋痛症を疑い,第24病日よりPSL20mgの投与を開始したところ翌日には解熱した。また入院時より幻覚、見当識障害、記銘力障害が認められたため、精神科を受診し内服加療が開始された。その後PSLを漸減し第94病日に退院となった。【結語】症状出現時から診断まで2ヶ月を要したリウマチ性多発筋痛症の1例を経験した。アルツハイマー型認知症を有する症例のため、自覚症状を正確に表現することが困難であり、診断に苦慮したが貴重な症例と考え報告する。
著者
久保 公利 松田 宗一郎 間部 克裕 加藤 元嗣 迫 康仁
出版者
道南医学会
雑誌
道南医学会ジャーナル (ISSN:2433667X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.44-46, 2019 (Released:2019-06-03)
参考文献数
9

【症例1】21歳,男性【主訴】虫体の排泄【現病歴】2018年6月末に排便時に紐状の虫体が排泄され,途中で断裂した。断端が肛門内に自然寛納されたために近医を受診した。便虫卵検査で広節裂頭条虫卵と診断され、駆虫目的に当院を紹介受診した。【既往歴】なし【職業歴】調理師【経過】問診により調理中の味見に伴うマス生食が原因と考えられた。入院翌日にプラジカンテル20mg/kgを投与し、3時間後にマグコロールPを投与した。虫体が排泄され、種の同定目的に旭川医科大学寄生虫学講座に発送した。Multiplex-PCR検査で日本海裂頭条虫症と同定された。【症例2】44歳,男性【主訴】虫体の排泄【現病歴】2018年7月末に排便時に紐状の虫体が排泄され,途中で断裂した。その後も2度排泄があり近医を受診し、駆虫目的に当院を紹介受診した。【既往歴】高血圧【職業歴】調理師【経過】問診によりマス生食が原因と考えられた。入院翌日にプラジカンテル20mg/kgを投与し、3時間後にマグコロールPを投与した。虫体が排泄され、種の同定目的に旭川医科大学寄生虫学講座に発送した。頭節が確認され、Multiplex-PCR検査で日本海裂頭条虫症と同定された。【結語】プラジカンテルで駆虫しえた日本海裂頭条虫症の2例を経験したので報告する。