著者
松田 敦郎 梅津 元昭
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.167-173, 2005-05-25
参考文献数
19

妊娠豚へクロプロステノール(CLO ; PGF<SUB>2&alpha;</SUB>類縁体)およびカルベトシン(CAR ; オキシトシン類縁体)を投与し,分娩および子豚の成長を調べた.実験1では妊娠豚80頭を各群20頭に割付け,妊娠113日目にCLO 0.175mgを投与し,24時間後にCAR 0.05,0.1,0.2mgまたはオキシトシン25IUを筋肉内投与してCARの最適投与量を検討した.その結果,CAR投与から第1子娩出および分娩終了までの平均時間はCAR 0.1mg投与群が最短であった.実験2では妊娠114日目にCLO 0.175mgを投与し,24時間後にCAR 0.1mgまたは生理食塩水を筋肉内投与して分娩および子豚の成長を観察した.CAR 0.1mg投与群(50頭)の第1子娩出までの平均時間は43分で生理食塩水投与群(40頭)の299分に比べて有意に短縮した.CAR 0.1mg投与群では50例すべてが投与日の昼前に分娩を開始したが,生理食塩水投与群は40例中24例の分娩が昼以降になった.また,生後2,5,14日の子豚の平均体重は群間で差がなかった.以上の結果より,妊娠末期のブタへCLO 0.175mg投与後24時間にCAR 0.1mgを投与することは昼間分娩集中化を可能にすると考えられた.