著者
松田 滉平 中村 聡史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-182, no.14, pp.1-8, 2019-03-11

手帳やリマインダ,タスク管理アプリなどを使うことで,自身がやるべきことややりたいことを情報として外在化させ,忘れないように管理する人は一定数存在する.しかし,これらの管理方法の多くはタスク内容を忘れずに思い出せるように管理するものであり,タスクを整理して効率的に実行することはできても,タスクを行なうためのモチベーションには繋がりにくいといった問題がある.ここで人は画像を見ることによって,その画像内容に沿った行動を無意識的に行なうことや,画像に写っている対象への印象が変化することが知られており,我々はこれまでの研究において,従来の文字ベースのタスク管理ではなく,ビジュアルイメージである画像を用いて,タスクへの行動を促すトリガを管理する手法を提案してきた.本研究では,この画像によるタスク管理の可能性について複数の実験を通して検証した.タスクの提示形式の違いによる比較実験を行なったところ,タスクを確認してから実行するまでの時間差においては 「具体的にタスクに関連するものを被写体にして表現された画像」 と 「抽象的だが画像で表現された画像」 が短時間でタスクを実行に移しており,次いで 「文字で表現されたもの」,「抽象的なイラストで表現された画像」 の順でタスク実行に移るまでの時間差が短い結果となった.これらの実験結果から,タスクの行動を想起しやすい画像にすることで,タスクへのモチベーションが向上することが明らかになった.