著者
國武 悠人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-193, no.20, pp.1-4, 2021-05-25

VR 空間内での擬似感覚は,VRChat 等の VR プラットフォームの普及により身近なものとなり近年注目を浴びつつある.本研究では落下感覚に焦点を当て,HMD 利用経験の有無によって VR 空間にて感じる落下感覚に差が生まれるのかを検証するため,継続的に HMD を利用したことのない 31 名と,継続的に HMD を利用している 31 名を対象として実験を行った.その結果,HMD 利用経験の有無により感覚の回答に差があることが明らかとなった.近年,VR プラットフォームでの実験が被験者の集めやすさから注目されているが,本研究によって HMD 利用経験の有無により回答が異なることが示されたことから,そのような擬似感覚に関する実験の手法について再検討の必要性が示唆されたといえる.
著者
永須 龍太郎 渡邊 恵太
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-186, no.14, pp.1-8, 2020-01-08

これまでに VR の分野では,頭部への触覚提示やコントローラの慣性モーメントを制御した手への触覚提示手法が提案されている.この 2 つの手法を参考に,本研究では頭部まわりの力のモーメントを制御する手法を提案し,ヘルメット型力覚提示デバイス HeadMomentController を試作した.さらに,提案手法を用いるうえで提示すべき力のモーメントのパラメータを決定するための知覚実験を行い,モーメント知覚の心理尺度,絶対閾,弁別閾を調査した.実験の結果を踏まえ,提案手法では棒の長さを前後左右に 20cm,提示すべき質量は 200g 以下と結論づけた.
著者
和田 拓哉 福地 健太郎
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-EC-44, no.18, pp.1-8, 2017-05-25

ロールプレイングゲーム (RPG) における重要な要素として 「戦闘」 がある.RPG では各キャラクターの体力や攻撃力,敵キャラクターと与え合うダメージなどが数値で表現されており,プレイヤーがゲームを楽しみ攻略する上で重要な要素である.一般にプレイヤーキャラクターの成長に伴いこれらの数値は増大し,それがプレイヤーにとっての継続プレイの動機となっている.本研究では,この数値の大きさがプレイヤーにどのような影響を与えるかを調べるために,戦闘に特化した実験用ゲームを作成し実験を行った.その結果,数値が大きいほどプレイヤーはゲームをおもしろいと評価するという仮説は棄却されたものの,数値が大きい場合,ゲームそのものの難易度は変わっていないにも関わらず,プレイヤーはゲームの難易度を高く感じることが分かった.
著者
高田 崚介 林 威 安藤 宗孝 志築 文太郎 高橋 伸
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2016-HCI-169, no.10, pp.1-7, 2016-08-22

防水機能を有するタッチパネル端末 (以下,防水端末) において,画面タッチ時の圧力を取得する手法を示す.本手法は気密性を有する防水端末にタッチした際に端末内部の気圧が上昇し,端末に内蔵された気圧センサの出力値が変化する現象を利用する.同じ圧力にてタッチした際の防水端末の気圧の変化量は,タッチ位置によって異なる.我々は実験により,タッチ位置ごとの気圧の変化量,ならびにタッチ圧力と気圧の変化量の関係を調査した.本稿にてその調査結果および考察を示す.
著者
國武 悠人
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2021-HCI-194, no.2, pp.1-4, 2021-08-16

VR 空間での擬似感覚は,VRChat 等の VR プラットフォームの普及により近年注目を浴びつつある.そのような中で,VR プラットフォームユーザーから「HMD 利用経験の有無が,VR 空間内での擬似的な触覚や嗅覚に影響しているのではないか」という非公式な報告が寄せられた.そのため本研究では予備的調査として,HMD 利用経験の有無によって VR 空間にて感じる触覚及び嗅覚に差が存在するのかを検証するため,継続的に HMD を利用したことのない 31 名と,継続的に HMD を利用している 31 名を対象として実験を行った.その結果,HMD 利用経験の有無により感覚の回答に有意な差は無いことが分かった.VR 空間での落下感覚については有意な差が存在することが先行研究によって明らかとなっているため,今後は落下感覚との違いを調査していく.
著者
南里 英幸 松尾 太郎 大貫 祥央 福地 健太郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.34, pp.1-8, 2018-03-09

高精細な 3D プリンタが安価に利用可能となり,印章 (はんこ) の偽造は誰もが容易にできるようになりつつある.本調査では,紙に捺印された印影をスキャンした画像から,複数種類の手法で印章を作成し,予備調査によってもっとも高評価であった,アクリルを用いたマテリアル ・ ジェッティング方式によるものを用いて目視による真贋判定実験を実施した.対象者は著者らが所属する大学の大学生で,いずれも印影照合の経験は持っていなかった.実験の結果,正答率は約 70% となり,また偽造した印章による印影のうち 25% は本物と誤判定された.また,照合の過程で印影のどの箇所を見て判断したかについて被験者に指摘してもらい,本実験で採用した手法の問題点を分析した.
著者
松村 耕平 尾形 正泰 小野 哲雄 加藤 淳 阪口 紗季 坂本 大介 杉本 雅則 角 康之 中村 裕美 西田 健志 樋口 啓太 安尾 萌 渡邉 拓貴
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-174, no.13, pp.1-8, 2017-08-16

ACM CHI に採録された論文を読み合う勉強会,CHI 勉強会 2017 を開催した.勉強会では ACM CHI2017 に採録された 599 件の論文を参加者が分担して読み合う.これによって,参加者は先端の HCI 研究を概観することができる.本年度は,勉強会をスムースに実施し,また,参加者の支援を行うために支援システムを導入した.システムの分析から,CHI 勉強会がどのような特徴を持っているのか,そして今後どのようにデザインされていくべきなのか議論する.
著者
佐藤 宏樹 大西 鮎美 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-200, no.34, pp.1-7, 2022-11-01

人間の目は明るさの変化に対応して感度を調整し,その明るさに順応することで視覚機能を維持する.周囲が明るくなるときの順応を明順応,暗くなるときの順応を暗順応と呼ぶ.しかし,トンネルや建物への出入りのような急激に明るさが変化する場面では,明るさの変化に目の順応が追い付かず視力が低下し事故につながる恐れがある.そこで本研究では,明るさの急激な変化に対応するため,LED と遮光フィルムを用いて目に入る光の量を制御し,明順応と暗順応を支援するウェアラブルデバイスを提案する.提案デバイスは明順応を支援するために,周囲が明るくなる直前に LED の光を目に照射して明るさに目を慣れさせる機能と,明るくなると同時に遮光フィルムを用いて明るさの変化を緩やかにする機能をもつ.また,暗順応を支援するために,暗くなる直前に遮光フィルムで目を覆い暗さに目を慣れさせる機能をもつ.各機能による視力の低下を抑制する効果を評価した結果,LED を用いた明順応の支援では視力の低下を抑制できる可能性が示唆されたが,遮光フィルムを用いた明順応の支援については視力の低下を抑制する効果は確認できなかった.また,遮光フィルムを用いた暗順応の支援は LED を用いた明順応の支援と比べて視力の低下を抑制する効果が低いことがわかった.
著者
永沼 優一 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2018-HCI-177, no.4, pp.1-8, 2018-03-09

リアルタイムで状況が変わるゲームをプレイする際に,プレイヤーは変わっていく状況に対してその都度判断を下して行動し,その行動によって現れた状況に対し判断を下して行動するということの繰り返しを行っている.その中でも,判断し行動するまでの時間がきわめて短い判断を瞬間的判断と呼ぶ.プレイ技術の向上のためには,この瞬間的判断の傾向を分析し改善する必要があるが,プレイ動画を見返すだけでは瞬間的判断をした箇所や判断中にある無意識な偏りに気づけないという問題がある.そこで本研究では,イベントとアクションを定義し,その発生時間の差を元に瞬間的判断が行われた箇所を抽出してユーザに判断箇所と傾向を提示する手法を提案する.提案手法を評価するために,提案手法に基づき実装したツールと既存手法でプレイ中の判断の偏りを発見させる比較実験を行った.その結果,提案手法は既存手法に比べて有意に短い時間で判断の偏りを発見することができた.また,提案手法は既存手法と同程度の精度で判断の偏りを探せることがわかった.
著者
謝 涵 西田 健志
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-174, no.14, pp.1-5, 2017-08-16

長い小説などを読む際,登場人物が前にどのような場面で出てきたどのような人物なのか思い出せず,読みづらいと感じることがある.そこで本研究では,物語の登場人物を把握しやすくするシステムを提案する.提案システムには,登場人物を記憶しやすくすることと思い出しやすくすることの両面から,初登場シーンにジャンプする機能と人名に絵文字を追加するなどの機能を実装している.
著者
大塲 洋介 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-200, no.37, pp.1-8, 2022-11-01

MacBook Pro(2021)画面上部のノッチ領域には,カーソルが進入できる.しかし,カーソルの一部や全部が隠れてしまう.この影響でノッチが操作時間を増加させることを,筆者らは先行研究で明らかにした.そして本稿では,ノッチを「カーソルが進入できない領域」とした方が良いと提言する.ノッチの外縁でカーソルが留まるため,ノッチと隣接したターゲットを高速に選択できると考えられるからである.実験 1 では,現行のノッチの仕様で,「ノッチに進入する戦略」よりも「ノッチを回避する戦略」が望ましいことを示した.実験 2 では,ノッチを「カーソルが進入できない領域」に変更した場合,ノッチと隣接するターゲットを速く正確に選択できるようになることを示した.
著者
大塲 洋介 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.2, pp.1-8, 2022-08-15

MacBook Pro(2021)にはディスプレイの上端中央にノッチ(描画が行われない黒い領域)が配置された.デフォルトのカーソルサイズの場合,このノッチとカーソルが重なると,カーソルの全部もしくは一部が隠れてしまう状況が観察された.このような状況下では,ユーザはノッチ内でのカーソルの位置がわからなくなったり,カーソルを見失ってしまったりする可能性がある.それにより,ノッチを回避する経路をとったり,ノッチ付近で慎重に操作したりすることで操作時間が増加するかもしれない.本研究では,画面上端にあるターゲットから,同じく画面上端にある他のターゲットを選択する場合(例えば,メニューバーの「ファイル」項目を選択後,「検索」項目を選択する場合),ノッチが操作時間に与える影響を調査した.結果,本実験条件のうち,ノッチがターゲットの間にある条件では,操作時間が約 11.8% 増加することがわかった.
著者
富張 瑠斗 木下 大樹 大塲 洋介 山中 祥太 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.5, pp.1-7, 2022-08-15

視力が低いとポインティングの際,カーソルやターゲットがぼやけて見える.そのためターゲットを慎重に狙う必要があり,選択までの時間が増加する可能性がある.また,カーソルやターゲットを正確に把握できないため操作ミスも増える可能性がある.本研究では視力が低下した際,パフォーマンスがどの程度低下するのかを調査する.実験では視力の変化を画面のぼかしで代替することで,画面上のターゲットが明瞭に見えない状況を再現した.実験の結果,ぼかしが強いほど操作時間とエラー率が増加することがわかった.また,ターゲットが小さいほど,エラー率に対するぼかしの影響が大きいことがわかった.
著者
原 智仁 寺田 和憲
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-164, no.1, pp.1-7, 2015-07-24

不正防止や犯罪防止のためのシステムが求められている.防犯カメラなどは名の通り犯罪を未然に防ぐためにあるが,実際の効果は薄く,現段階では主に犯罪事後の証拠資料の提供にとどまっていると言わざるをえない.先行研究では目の存在が人の道徳性向上を向上させ,不正防止に効果があることがわかっている.本研究ではこの心理効果を利用し,防犯カメラの代わりとなる眼球ロボットの開発を行った.眼球型のロボットの前では,防犯カメラよりも自己利益追求が抑止されるという仮説を,ロボットに見られないように現金を盗むタスクを用いた参加者実験によって検証した.実験の結果,現金取得本数には有意な差は確認されなかったが,人のロボットから感じる感情に有意な差が見られ,眼球型のロボットはカメラ型のロボットよりも被視感による緊張や恐れの感情をより感じることがわかった.
著者
石川 貴一 粕野 悠聖 高野 保真 佐久田 博司
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-182, no.2, pp.1-5, 2019-03-11

近年,フィットネスクラブやジムの利用者の増加にともなって,筋力トレーニングに注目が集まっている.さらに,IT 分野の急速な発展により,筋力トレーニングに IT 技術を取り入れるための様々な試みがなされている.そのような背景のもと,本研究は,マーカー型モーションキャプチャによって取得したユーザの動作を,VR ゴーグル内にアバタとして再現し,VR ゴーグルを装着した状態で筋力トレーニングした際のプロテウス効果について調査した.プロテウス効果は,仮想空間内のアバタの外観が,ユーザの心理的 ・ 身体的に影響するという現象である.今回は,男女 16 名の被験者を対象に筋肉量の異なる外観の二種類のアバタを用いて,筋力トレーニング時の疲労度に与える影響を調査した.主観的な疲労度をアンケートにより集計した結果,被験者を男性に限定すると,筋肉質のアバタを映した場合には疲労度が軽減されるということが分かった.
著者
木下 大樹 大塲 洋介 富張 瑠斗 山中 祥太 宮下 芳明
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.37, pp.1-8, 2022-08-15

多くのポインティング手法の評価実験ではできるだけ速く正確にタスクを行うように指示される.速さと正確さはトレードオフの関係にあるため,それぞれにどれだけの重みを置くかは参加者にゆだねられてしまう.例えば,エラーしにくいポインティング手法を提案して評価実験をする場合,正確さに重きを置く参加者が多いと,従来手法との差が出ない可能性がある.本稿では,速さと正確さに対するバイアスがポインティング手法の評価結果へ与える影響を調査した.ニュートラル,速さ重視,正確さ重視の 3 種類のバイアスでポインティングタスクを行う実験を,十字カーソルとバブルカーソルの 2 種類のカーソルで実施した.結果,バイアスとカーソルの間に交互作用がみられ,バイアスが正確さ重視になることでカーソル間のエラー率の差が小さくなることがわかった.このことから,速さと正確さに対するバイアスが評価結果に影響を与える可能性が示唆された.一方で,正確さ重視においてもバブルカーソルの方が十字カーソルよりも有意にエラー率が低く,バブルカーソルはバイアスによらず有効な手法であると示された.ポインティング手法の評価実験において,複数のバイアスを条件に含めてタスクを行うことで,多彩な状況(たとえば,ユーザが確実にエラーをせずにボタンを選択したい状況)を考慮した評価が行えると考えられる.
著者
植田 智之 中西 惇也 倉本 到 馬場 惇 吉川 雄一郎 小川 浩平 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2019-HCI-184, no.16, pp.1-8, 2019-07-15

いじめにおいて,傍観者はいじめを止めたいという道徳観を持ちながらも,いじめに巻きこまれる懸念や気恥ずかしさといった理由から,積極的に仲裁を行わないという問題がある.そこで,チャットグループ内の一人の傍観者を装ってチャットボットが仲裁する発言を代替し,装われた傍観者に半強制的に仲裁を行わせる手法を提案する.これにより,仲裁を装われた傍観者に仲裁者としての自らの役割を半強制的に自覚させる効果が期待される.この効果を検証するため,被害者に協力する仲裁行動,被害者を攻撃する加担行動の両方を被験者が自由に取ることができるシステムを作成し実験を行った.提案手法により被験者の仲裁行動が増加し,加担行動が抑制する様子が観察された.このことから,チャットボットが仲裁を装うことで被験者に仲裁をする役目を自覚させ,いじめを縮退させる行動へ誘導できると考えられる.
著者
染谷 有利奈 高橋 英之 伴 碧 久木田 水生
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2023-HCI-201, no.16, pp.1-4, 2023-01-09

近年,宗教的な存在を想起させるエージェントのデザインや役割について注目が集まっている.本研究では宗教的なエージェントのデザインを行う上での調査として,様々な宗教的な存在に対して,人々がどのような心的知覚を持つのかについて調査を行った.特に本研究では地蔵尊に着目し,現代の日本人が地蔵尊をどのように捉えているのか,他の存在と比較しながら検証する.そこから地蔵エージェントのデザインと効果について考察していく.
著者
太田 祥一郎 河田 隼季 牟田 将史 益子 宗 星野 准一
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.10, pp.1-8, 2017-02-27

近年では,年間に放送されるアニメ作品は 200 本を超え,関連グッズなどのコンテンツを含めた広義のアニメ市場規模は 1 兆 8250 億円に昇る.しかし,アニメ作品と市場の発展に伴い,数多くのアニメ作品の中からユーザが自分の嗜好に合った作品を見つけ,それらの関連コンテンツの全容を把握することは困難となっている.そこで本研究では,ユーザの潜在的嗜好を反映した,アニメ作品や関連コンテンツを横断的に推薦することができるアニメ作品推薦システム “AniReco” を提案する.本システムは,アニメの視聴回数とジャンルや声優などの指標によって分類したアニメ作品情報を用いてユーザの嗜好を算出し,ネットワーク図による視覚化を通した推薦を行う.システム利用姓,推薦内容の検証を目的とした評価実験を行った結果,提案システムがユーザの嗜好に合ったアニメ作品を推薦可能であることを確認した.
著者
大槻 麻衣 大隈 隆史
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2020-HCI-187, no.13, pp.1-6, 2020-03-09

超高齢化・少子化のために労働人口減が進む現代日本社会において,サービス業における人手不足が今後ますます深刻化することが予想される.現状,サービス業における訓練では,OJT (On the Job Training) として,指導者が訓練者に付き添い,実際の接客を通じて指導を行うことが多いが,訓練者の認知や判断の途中経過を指導者が客観的に捉えることが難しいことから,OJT による指導は極めて難しい.また,訓練の効果を評価するためには,採点者に依らない定量的な指標の計測が必要であるが,実店舗での接客中に計測することも困難である.これらの問題に対し我々は,飲食サービス業において特に実店舗で訓練が難しい要素である「気づき」と「優先順位判断」に着目した VR 業務訓練システムを開発する.提案システムでは,VR 空間に再現した実店舗モデルを用いて訓練を行う.訓練者は複数のテーブルに対して並列して接客業務を訓練することができ,また,指導者はリアルタイム,あるいは後からその様子を見て採点可能とした.本稿では提案システムの設計とプロトタイプの実装について述べる.