著者
松行 彬子
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.1-17, 2002-03-30

近年、企業を取り巻く経営環境は、急速に変化し、また、きわめて複雑な様相を呈している。このような環境変化に対応して、1980年代後半を境として、企業経営のパラダイムは、それまでの内部資源重視から外部資源利用による経営資源の補完へと大きく転換し、その流れは現在にいたるまで続いている。その結果、戦略的提携、アウトソーシングなどのネットワーク型のグループ経営が数多く登場してきた。これまでのグループ経営研究においては経営資源の補完という単なる機能的な側面が注目された。しかし、本論文では、グループ経営への参加企業間では、情報を媒体とした何らかの関係性が形成され、知識移転・組織間学習が生起し、それらが企業変革を促進すると考える。そこで、本論文では、このような問題認識に基づいて、企業間の組織学習と組織間学習に着目し、その概念および特性について明らかにする。そして、企業間における組織間学習を通して、知識創造が行われ、最終的には、企業変革にいたる一連のプロセスについて検討・考察する。