著者
遠藤 寛子 板井 英樹 桜木 康広
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E0353, 2007

【目的】高齢化が急速に進む中、全国市町村各地域で介護予防対象者に対しての介護予防教室などが2000(平成12) 年の介護保険制度開始から徐々に開始され、2006(平成18)年4月からの介護保険制度の改訂により、現在では一層多く開催されるようになった。しかし、実状として介護予防教室には介護予防を必要としている全ての対象者が参加しているわけではなく、介護予防が必要な方の中でも参加していない方も多い現状がある。そこで、参加していない理由、または参加できない理由について、参加している方と参加していない方の要因を比較検討し、今後の参加率向上に繋がる方法について考察した。<BR>【方法】A県内3市4町各地域の在宅介護支援センターが把握している介護予防対象者(特定高齢者含む)のうち、過去1年間介護予防教室への参加がある高齢者と過去1年間介護予防教室へ参加したことがない高齢者の中から無作為に選んだ230名を対象とした。その対象となった方が登録されている在宅介護支援センターに、厚生労働省推奨の介護予防のための基本チェックリストと独自に作成した介護予防/転倒予防・健康状態に関するアンケート用紙の2種類を郵送または直接訪問し自記式にて実施した。調査期間は平成18年9月から10月の1ヵ月間とした。<BR>【結果】アンケートの回収率は、対象者158通(68.7%)であり、有効回答数は男性27名、女性121名の計148名であった。平均年齢は74.6±6.3歳で、独居世帯は33世帯(21.5%)を占めていた。介護予防教室に参加している方は、女性が圧倒的に多く、頻度が少なくなるにつれて男性の比率が上がってきていた。同居家族の人数による違いは見られず、全く参加していない方は、独居が多い傾向があった。自覚的健康観は、「まあまあ健康である」と感じている人が多数を占めた。また、健康に関するメディアへの関心は、「とてもある」「まあまあある」で、9割以上を占めていた。身体を動かすことや友達の家への訪問は、介護予防教室への参加頻度が上がるにつれ増加傾向にあった。ただし、身体の痛み、身体を動かす機会や自分から人に声を掛ける機会、人見知りや人と仲良くできないことに関しては、あまり差がみられなかった。介護予防教室に言葉や内容、開催の認知については、参加していない人に認知されていなかった。<BR>【考察】介護予防教室への参加要因として、自分の健康観というより、身体を動かすことが好きで他人との交流を目的としていることが考えられた。一方、不参加要因としては、健康に対する意識や関心は高く、それ相応に身体を動かしているものの、教室自体の存在や目的が、各地域で必ずしも周知徹底していないことが考えられ、今後、広報活動や地域でのネットワークづくりの必要性が高いと考える。<BR>
著者
板井 英樹 小村 博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】青森県理学療法士会(以下,青森県士会)では,介護予防啓発イベントである介護予防キャラバンの主催や各自治体で行われているヘルスプロモーションの一貫である健康まつりへの参画を継続的に実施してきた。上記のようなイベントを企画運営する上での6つのポイントとして,How方法・Where場所・When時期・Whatテーマ・Why目的・Who対象者といった5W1Hは代表的なフレームワークの一つである。企画運営に結び付けていくフレームワークを作り上げていく機会として,青森県士会広報局啓発部では理学療法週間ワークショップと称したグループワークを事前に実施している。今回,その活動について報告する。【活動報告】イベント企画の事前段階としてスタッフ募集に伴わせる目的も含め青森県士会員を対象とした理学療法週間ワークショップを開催している。"PTをPRするためには""PTの良いところは""PT(リハビリの良さ)を知ってもらうためには"などをテーマとして(1)啓発活動の周知(2)動機付け(3)発想法(発散・収束方法)の経験と習得を目的に実施してきた。発想法としては,より多くのアイデアを引き出すためにブレインストーミング法を基礎として,平成19~24年度はKJ法,平成25・26年度はマインドマップを用いて実施し,イベント企画の参考にした。【考察】日本理学療法士協会からの助成費用があった年度以外も,青森県士会の独自事業として,啓発イベントは継続実施してきたが,ワークショップで用いた発想法を通して,イベントスタッフの動機付けやイベント内容の豊かさ及び青森県士会員の懇親を深めることに繋がったものと判断される。【結論】理学療法週間ワークショップより得られた内容が,必ずしもその年度のイベントに反映はされないときもあったが,その時々の資源により数年後に実現される場合もあり,そういった意味では理想を語り図解化していく作業としてワークショップは有意義である。