著者
宮崎 幸生 山田 松治 板倉 稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.140-148, 1991-02-15
被引用文献数
1

本論文では 事務処理分野のソフトウェアを対象に 設計作業の進展と共に段階的に正確さを増すと考えられる3種類のソフトウェア規模見積りモデルの概念と 回帰式を用いてこのモデルの係数値を決定する方法を提案する次に この3種類のうち2種類のモデルについて提案する方法により係数値を決定し 回帰式に使用したデータで評価する限りは 一般的方法より正確度の高いモデルが作成できることを示すまた 同時にモデルが段階的に正確さを増すことも示す段階的規模見積りモデルの入力は 画面数 幌票数 ファイル数であるファイル数の数え方の詳細度により 概算 中間 詳細の3種類のモデルがある規模見積りは開発の初期にわかる少数の入力変数により見積もることが理想である主にこの理由により 画面や帳票の項目数はモデルに用いていないこの点とファイル数の数え方を明確にし その詳細度により3種類の段階的なモデルがある点が 既存のファンクションポイント法^6)などと大きく異なる点である規模や工数の見積りモデルの正確度を評価する際には これらの実績値がシステムにより大きく変わるため 相対誤差が一般に使われる一方 モデルの係数値を回帰式により決定する際には 絶対誤差の二乗和を最小にする通常の最小二乗法が用いられるこのため モデルの正確度が向上しないという問題がある本稿で提案する係数値の決定方法は この問題を解決するため 相対誤差の二乗和を最小にする方法を使う