- 著者
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玉澤 かほる
板垣 由美
井川 資英
米田 栄吉
福田 俊男
石幡 浩志
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2000
本研究は,高周波プラズマ状態のガス雰囲気中で,有機物を迅速に分解除去して滅菌効果を得ることを目的としており,研究した結果,以下の成果を得た.1)フォトレジストをウエハに塗布して酸素ガスにてプラズマ処理(アッシング装置:PACK-1,ワイエイシイ社)した.レジストの膜厚(膜厚計にて測定)は,ウエハを石英ラックに水平でなく垂直に設置した方が,また出力が大きいほど,放電方式が同軸電極より対向電極の方が,減少量が大きかった.2)細菌芽胞を塗布した試料を,対向電極方式でプラズマ処理した.試料をトリプトケース培地にて培養すると,ヒータ温度が高いほど,処理時間が長いほど,出力が大きいほど,芽胞の死滅効果は大となった.ヒーター温度60℃,10分間のプラズマ処理により,芽胞B.Stearothemophilus10^4を塗布した試料10例すべてが培養陰性を示した.非プラズマ処理群(ヒーター温度60℃,100℃,140℃)では,試料は全て陽性培養であった.これより,プラズマ処理時の殺菌効果は,熱効果でなくプラズマ本来の物理的効果に依存することが明らかとなった.3)過酸化水素・低温プラズマ滅菌装置(STERRAD^*100R,ジョンソン&ジョンソン,ST装置)の滅菌機序を検討した.チャンバ内にバイオロジカルインディケータ(BI,ジョンソン&ジョンソン)を置いて電源を投入し,表示パネルの処理完了時刻の25分前に故意に電源を切ってプラズマ行程をスキップした.培養されたBIは10検体すべて陰性であった.この結果は,ST装置では,プラズマ行程前に,滅菌処理が既に完了しており,滅菌の主体はプラズマではなく過酸化水素ガスの薬理作用に依存していることを示唆するものである以上より,本研究で開発した装置は,過酸化水素などの薬剤を併用しないで,プラズマのみで滅菌効果を得ることのできる新しい画期的な滅菌方法である.