著者
渡邊 淳司 板垣 貴裕 野嶋 琢也 稲見 昌彦 舘 すすむ
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.116-122, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
12

見える物体は触ることができる.普段我々は,見えているものに何気なく手を伸ばし,触っているが,それはあたりまえの行為なのであろうか.我々にとって,何かがが存在するということは,そこに物質が存在し触覚を感じられることなのか,それとも,見えるということなのであろうか.本作品ではそれぞれの感覚における“存在”がテーマであり,体験者が画面の中で走り回る小人を触ることで,視覚と触覚による存在感の違いを感じることをねらいとした.小人は見える小人と影だけの小人の2 種類の小人が存在し,見える小人は視覚では知覚することはできるが,触覚によっては感じられない.一方,見えない小人は触ることによってその物質性は確認することはできるが,見ることはできない.彼らはそれぞれ,人間の知覚との関係性が一部失われた世界に存在している.