著者
上岡 尚代 野田 哲由 林 㤗京 橋本 和幸
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.10, pp.45-51, 2016

高校陸上大会において行っているトレーナーブースを利用した競技者に対し,ピドスコープを用いて接地足蹠撮影装置を実施し,同時に傷害調査及びセルフコンディショニングの実施状況及び認識について調査した.傷害発生の部位は70%以上が下肢に発生していた.傷害発生時期は,53.7%が高校で発症しており,半数は完治していると回答したが,その半数近くは再発を繰り返していた.セルフケアの実施状況は,筋力トレーニングやストレッチング,アイシングなど必要性は認識しているにも関わらず,実施率は認識率を下回った.接地足蹠測定では,足蹠指数は陸上競技者が左右平均3.33本,コントロール群3.29本と陸上選手と同世代の一般学生で差は見られなかった.蹠指数と下肢の傷害の関係は,股の障害の有無と左右足の接地蹠指数の差は右足のみ蹠趾数が少ないほど有意に股関節と大腿前面の傷害発生数が多かった.(股関節t(28.0)=2.25, p<.05)(大腿前面 t(26.0)=1.89, p<.10),すねの傷害と蹠指数とは,両側とも足蹠趾数が少ないほど有意に脛部の傷害発生が多く,両者の関連性が示唆された.足指の把持筋力については,傷害発生率との有意な関連性はみられなかった.陸上選手と同世代の一般学生との足底荷重部分の違いについては,陸上選手が有意に足部前方に荷重していた.