- 著者
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林 東煥
- 出版者
- 一般社団法人 芸術工学会
- 雑誌
- 芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
- 巻号頁・発行日
- vol.86, pp.45-52, 2023 (Released:2023-03-31)
本研究は19世紀に流行した宮廷チェッコリ絵と民画チェッコリ絵における造形性をグラフィクデザインの観点から比較分析を行うことを目的にし、類似性、相違点の究明に焦点を当て、 視覚的特性を究明し、 その特性に関する要因を探求した。なお、美術史の視点ではなく、造形性と生活文化からの視点を採用する。作品は朝鮮時代後期である18世紀~1897年までの作品を網羅している『韓国の彩色画3』『韓国の彩色画6』『CHAEKGEORI』の3編で選定した。比較分析の対象とした作品数は、宮廷チェッコリ絵は11点、民画チェッコリ絵は25点となった。2つの絵における理論的背景より書物の表現、視点及び構図、装飾的要素を中心として探究し、当時の生活文化に基づき、要因を考察した。このような造形的特性の考察を通し、宮廷チェッコリ絵では韓国美術史における正統性があり、民画チェッコリ絵では大衆的な伝統性があることを明らかにした。なお、造形的共通性の中にも差異が明らかになり、伝統チェッコリ絵の様式を継承するデザイン作品の可能性が広がると考える。