- 著者
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森下 あおい
黒川 隆夫
- 出版者
- 一般社団法人 芸術工学会
- 雑誌
- 芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, pp.113-120, 2010
日本では明治時代には写真はまだ希少なものであったが,僅かに女性の容姿も撮影されていた.そこで本稿では,系統的な集団計測が行われていなかった当時の女性の体形を把握するため,明治期に撮影された65枚の写真から全頭高,幅径,高径四肢長などの16項目のサイズ値を推定し定量化した.その結果,明治期の女性は現代女性よりも狭い肩幅で,体幹部の下部が広く手足の短い体形であった.さらに明治期女性を,芸妓,写真のモデル,良家の子女の3種の職業で比較すると,明確な体形差が判明した.すなわち,女性の美の理想とされた芸妓は,比較的各部位の位置が高く小顔で細身の体形であり,3種の中では現代女性に最も近い体形特徴を持っていた.一方,写真のモデルは体幹部の幅が広く大顔で,がっしりとした体形であり,良家の子女は身体の部位の位置が低く,寸胴の体形であった.