著者
林 真輝人
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.82-89, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
24

近年,キャッシュレス決済が急速に普及したことによって,消費者が使用可能な支払方法は多様化している。支払方法に関する既存研究においては,多様化する支払方法が消費者行動にどのような影響を与えるのかということに関して,盛んに議論が行われている。そこで,本論では,支払方法に関する既存研究を,(1)特定の支払方法の使用意図に関する研究群,(2)支払方法の違いが消費者行動に及ぼす影響に関する研究群,(3)支払方法の違いの影響を媒介する要因に関する研究群に分類したうえで,概観する。そして,支払方法に関する研究が今後検討するべき課題として,(1)消費者の過剰な支出を抑制する要因の探究,(2)感覚マーケティング領域における知見の応用,(3)新たな調整変数の識別を指摘する。