著者
林 紋美 横田 素美
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.122-132, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
29

本研究の目的は,糖尿病看護に携わる看護師が抱く,患者と看護師の関係に対する思いとコントロール不良な糖尿病患者に対する思いを明らかにし,その関係を探索することである。看護師10名を対象に半構成的面接を実施し,質的帰納的に分析した。患者と看護の関係に対する思いは5つ,コントロール不良な糖尿病患者に対する思いが6つ抽出された。看護師が,患者と看護師との関係に対して【看護師の指導を受け入れて欲しい】【自分が傷つく患者には関わりたくない】【患者や医療者から看護師としての自分を評価されたい】という思いを抱いていると,コントロール不良な糖尿病患者へ【糖尿病はコントロールできる】や【病状悪化は患者の責任】【コントロール不良な患者への看護は虚しい】という思いを抱いていた。また【患者を尊重したい】や【真摯な姿勢は患者に伝わる】という思いを抱いていると,コントロール不良な患者に対して【良い方向へ変化して欲しい】や【糖尿病を抱えることは大変】という思いを抱く反面,繰り返される入退院の現実を前にすると【患者の気持ちが分からない】という思いを抱いていた。看護師が患者を尊重する思いを持ち続けることが,コントロール不良な患者を看護することにおいて重要な要素になると考える。