著者
下出 眞知子 吉永 充代 林 縝治 鈴木 はる江 雑賀 保至
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.101-107, 2015 (Released:2015-02-28)
参考文献数
23
被引用文献数
1

維持透析患者のたんぱく摂取基準量は1.0~1.2g/kg/日 (2007年度基準) であるが, たんぱく摂取量が増えると血清リンが上昇する問題が生じる. 本研究は外来通院透析患者77例の標準化蛋白異化率nPCRの1年間平均をたんぱく摂取量とし, 0.6~0.8未満 (L群), 0.8~1.0未満 (M群), 1.0以上 (H群) の3群で血液データ, 栄養状態, 精神的負担度を比較し, 透析患者のたんぱく摂取量を心身健康科学の視点から検討した. 結果, 血清アルブミン, BMI, エネルギー摂取量および精神的負担度の不安尺度と健康生成志向尺度は3群間に差はなかった. 血清リン, カリウム, 尿素窒素はnPCRの低い群ほど有意に低く, KDQOL-SFでは社会生活機能, 心の健康, 腎疾患の日常生活への影響, 腎疾患による負担においてL群で有意に良好であった. nPCR 1.0未満は, 栄養状態を損なわず, かつ精神的負担が少なく, 血清リンを抑えられるたんぱく摂取量と考えられた.