著者
林 麗如
出版者
日本白内障学会
雑誌
日本白内障学会誌 (ISSN:09154302)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-21, 2018 (Released:2018-07-05)
参考文献数
23

ルテイン (lutein, 以下, Lu) の抗酸化作用は加齢黄斑変性の予防に有効とされているが, 白内障の抑制についての効果は明確ではない. 従来の研究では異なる個体間で比較し, 遺伝, 生活習慣などの交絡因子や日々摂取量の変動について考慮されていなかった. 筆者らはこれらの影響を最小限にするため, 摂取量が一定のサプリメントを用いて, 同一人の内服前後で比較した. 両眼同程度の白内障で手術を受ける患者を対象として, 片眼の白内障手術を行い, Lu含有サプリメントを6週間内服したあと, 僚眼の白内障手術を行った. サプリメント内服前後の白内障手術時において, 血清, 房水および水晶体上皮細胞が付着している前囊を採取した. 結果として, サプリメント内服後に房水中のスーパーオキシド消去能が上昇し, 過酸化物質総量が低下した. 前囊におけるペントースリン酸回路の律速酵素であるglucose-6-phosphate dehydorgenaseの発現および蛋白質生成に関連する 18S rRNAが上昇し, 過酸化水素の透過チャンネルである aquaporin 8の発現が低下した. Lu含有抗酸化サプリメントは, 水晶体の過酸化を抑制し, 白内障の発症および進行を予防する可能性が示唆された.
著者
岡本 洋幸 林 麗如 筑田 眞 Hiroyuki Okamoto Rijo Hayashi Makoto Chikuda 獨協医科大学越谷病院眼科 獨協医科大学越谷病院眼科 獨協医科大学越谷病院眼科 Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University Department of Ophthalmology Koshigaya Hospital Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.185-188, 2013-10-25

Werner 症候群は老人様顔貌,強皮症様皮膚変化,若年性白内障を特徴とする疾患である.発症は100 万人あたり3~45 人とされている.今回,われわれは白内障術後10 年以上経過したにも関わらず強膜創の閉鎖不全が感染の原因と考えられる眼内炎の症例(41 歳,男性)を経験した.Werner 症候群には白内障を合併することが多く,術後も創傷治癒は遅延しやすいため感染のリスクが高い.眼科的な長期の経過観察が必要と考えた.