著者
林谷 学 升田 由美子
出版者
一般社団法人 日本救急看護学会
雑誌
日本救急看護学会雑誌 (ISSN:13480928)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.19-29, 2021 (Released:2020-07-01)
参考文献数
28

救命救急センターで勤務する看護師のWork Engagement(以下、WE)に達成動機と自律性が及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。全国の救命救急センター288施設の中から、単純無作為標本抽出した120施設を対象とし、915名に郵送法による無記名自記式の質問紙調査を実施した。回答数329名(回収率36.0%)、有効回答数318名(有効回答率34.8%)を分析対象とした。UWES(Utrecht Work Engagement Scale)総得点の基準点に基づき低値207名(65.1%)、普通81名(25.5%)、高値30名(9.4%)に分類された。WE を従属変数、属性、就業内容、職務に関する認識、達成動機、自律性を独立変数とした重回帰分析の結果、達成動機測定尺度総得点、仕事への満足、継続意志、「看護婦の自律性測定尺度」総得点で影響があった。また、WE の下位概念である「活力」「熱意」「没頭」のすべてに「達成動機測定尺度」総得点が影響を示していた。達成動機は自分なりの基準で価値をおいた目標の達成であり、ポジティブな情動に繋がると考えられる。目標に向けて看護師が自らの責任で行動を起こすことは専門職としての自律につながり、WEに影響すると考えられる。看護師のWEに影響を及ぼす「達成動機」「仕事への満足」「継続意志」「自律性」はWE の規定要因である“個人の資源”であり、WE を高める要因であることが示唆された。