著者
枝 伸彦 伊藤 大永 清水 和弘 赤間 高雄
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.28-37, 2019-12-17 (Released:2019-12-17)
参考文献数
34

本研究では,エッセンシャルオイルを用いた香り刺激が安静時の口腔内免疫能および心理状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健康な成人男性16名を対象として,30分間の香り刺激の前後および30分後に口腔内免疫能,自律神経活動,心理ストレス指標を測定した。ベルガモット,ラベンダー,レモンの3種類のエッセンシャルオイルを用いて,噴霧量の強弱に分けた6試行とコントロール試行の合計7試行をランダム化クロスオーバーデザインにて実施した。その結果,ベルガモット「弱」試行にて,香り刺激の30分後に唾液中の分泌型免疫グロブリンA(secretory immunoglobulin A; SIgA)分泌速度の有意な増加がみられた。コルチゾール濃度については,ベルガモット「弱」試行,ベルガモット「強」試行,レモン「弱」試行において有意に低下することが確認された。また,いずれの試行においても心理状態は有意な改善を示し,特にレモン精油の香り刺激は総合的な気分状態を改善することが明らかとなった。したがって,ベルガモット精油は免疫機能とストレスホルモンに有益な効果を示し,総合的な気分状態の改善にはレモン精油が有効であることが示唆された。