著者
赤間 高雄
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.43-46, 2017-01-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
7

夏季オリンピック・パラリンピックは約2ヵ月間に数百万人以上が開催都市に集まり,試合やイベントに伴って行動する特別な状況である.夏季オリンピック・パラリンピックでは参加者のカテゴリーが細かく分類され,それぞれAccreditation card(以下,ADカード)によってアクセス制限や利用できるサービスが制限される.ADカードの種類や有無によって医療サービスも分けて準備する必要がある.大会組織委員会はオリンピック・パラリンピック関連施設内の医療サービスを整備し,その医療サービスの対象者は大会ADカード所持者と試合会場内のチケットをもつ観客である.オリンピック・パラリンピック開催都市には非常に多くの観客や観光客等が集まるため,行政が担うオリンピック・パラリンピック関連施設外の医療サービスも通常とは異なる特別な体制が必要になる.
著者
枝 伸彦 伊藤 大永 清水 和弘 赤間 高雄
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.28-37, 2019-12-17 (Released:2019-12-17)
参考文献数
34

本研究では,エッセンシャルオイルを用いた香り刺激が安静時の口腔内免疫能および心理状態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。健康な成人男性16名を対象として,30分間の香り刺激の前後および30分後に口腔内免疫能,自律神経活動,心理ストレス指標を測定した。ベルガモット,ラベンダー,レモンの3種類のエッセンシャルオイルを用いて,噴霧量の強弱に分けた6試行とコントロール試行の合計7試行をランダム化クロスオーバーデザインにて実施した。その結果,ベルガモット「弱」試行にて,香り刺激の30分後に唾液中の分泌型免疫グロブリンA(secretory immunoglobulin A; SIgA)分泌速度の有意な増加がみられた。コルチゾール濃度については,ベルガモット「弱」試行,ベルガモット「強」試行,レモン「弱」試行において有意に低下することが確認された。また,いずれの試行においても心理状態は有意な改善を示し,特にレモン精油の香り刺激は総合的な気分状態を改善することが明らかとなった。したがって,ベルガモット精油は免疫機能とストレスホルモンに有益な効果を示し,総合的な気分状態の改善にはレモン精油が有効であることが示唆された。
著者
松本 なぎさ 吉﨑 貴大 亀井 明子 上東 悦子 土肥 美智子 赤間 高雄 川原 貴
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Sports Science in Elite Athlete Support (ISSN:24322091)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-27, 2016 (Released:2019-02-15)
参考文献数
22
被引用文献数
1

The aim of this study was to compare the following aspects between junior- and senior-generation athletes to obtain basic data for future nutritional support activities for athletes, such as education on supplements and nutrition: the awareness of anti-doping; the type of supplements used; the frequency, purpose, and effects of use; the sources of information and access; and the inclination to buy. Although no association was found between dietary consciousness and generation, the awareness of anti-doping was lower in junior athletes. Differences between the two generations were also noted in the type of supplements used, the frequency and subjective effects of use, the source of information and access, and the inclination to buy. Therefore, generation-suited approaches should be considered for the education of elite athletes on supplements and nutrition.
著者
板倉 尚子 小松 裕 赤間 高雄
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C4P1125, 2010

【目的】第25回ユニバーシアード大会(ベオグラード2009)が平成21年7月1日~12日に12競技203種目にて開催された。本大会は大学生が参加する総合国際大会であり、選手村を設けて運営され、選手村の中で世界各国の競技者と国際交流し競技活動する大会である。今回、筆者は本部医務班にアスレティックトレーナーとして帯同する機会を得た。本大会での活動報告および国際大会において理学療法士がアスレティックトレーナーとして果たす役割について考察する。<BR>【方法】日本選手団本部医務班は財団法人日本オリンピック委員会情報・医・科学専門委員会医学サポート部会(以下、医学サポート部会)に所属する医師3名(内科医2名、整形外科医1名)およびアスレティックトレーナー1名(理学療法士)で編成された。筆者は先発隊として内科医1名と伴に6月25日に出国し、選手村へ入村、医務室設営および村内の環境確認を実施し、またPoliclinicを訪問しチーフドクターおよび理学療法士と事前打合せを行った。本大会における帯同トレーナーは18名(本部1名、8競技団体17名)であり、トレーナー帯同のない競技は4競技団体であった。メディカルスタッフの帯同がない競技については、本部医務班スタッフで調整し試合会場へ入りメディカルサポートを実施した。本部医務室の開設時間は7時半~23時としたが、トレーナー活動は主に試合前後の時間帯であり、日中の試合時間帯に試合会場内で活動を行った。トレーナー活動は6月26日から7月11日まで16日間実施した。<BR>【説明と同意】本発表を行うにあたり医学サポート部会へ発表の主旨を説明し同意を得た。<BR>【結果】トレーナーが対応した競技者は35名(42部位)で選手総数265名のうち13%の利用があり、述べ利用者数は185件であった。利用者内訳は性別では男子16名、女子19名。競技別ではトレーナーが帯同している競技では10名(5%)、帯同がない競技では25名(36%)の利用があった。部位別では腰背部10件、足関節8件、大腿部7件、肩関節5件、膝関節4件、その他8件であった。大会期間中に発生した急性外傷のうちアスレティックトレーナーが対応したのは4件であり、右足関節捻挫1件、股関節部打撲1件、突き指1件、左ハムストリング肉離れ1件であった。その他は入村以前からの症状が残存しているものや慢性外傷、長時間のフライトによるコンディショニング不良であった。本大会における渡航は成田空港よりミュンヘン国際空港を経由しベオグラード・ニコラ・テスラ国際空港まで合計約14時間のフライトであった。入村前に受傷し患部の症状は軽減していたが、移動中に腫脹および疼痛が増悪、関節可動域制限が生じ来室した競技者が5件(足関節内反捻挫4件、膝外側半月板損傷術後1件)あった。なお今回はマンパワーに限りがあり本部医師とも相談のうえ、リコンディショニングや明らかなコンディショニング不良にのみ対応し、マッサージのみを希望する競技者の受け入れは行わなかった。<BR>【考察】本大会において本部医務班はメディカルスタッフ帯同がない競技団体へのサポートを積極的に行い、また本部医務室だけではなく練習および試合会場へも移動してメディカルサポートを実施した。大会期間中に急性外傷を発症し本部医務室を来室し理学療法を施行した競技者は4件であり、医師と監督との協議の結果、すべての競技者は競技活動を続行した。急性外傷を有した競技者が競技活動を継続する際には患部の症状増悪や再受傷、二次的損傷を防ぐための万全の対応策が必要である。また外傷が完治していない部位や後遺症を有する部位に対して、一時的に痛みを軽減させる治療を希望し医務室を来館する競技者もあった。これらの競技者へは適切な評価に基づいた医学的判断と運動学的知識に基づいたスポーツ動作への理解により対応策が講じることが必要である。特に本大会は大学生が参加する国際大会であり、競技者育成の観点から、その場凌ぎのコンディショニングは行わずに評価と理学療法を施行した。本大会に帯同し競技者が国際大会でパフォーマンスを十分に発揮できる日常的なメディカルサポート体制構築の必要性を感じた。<BR>【理学療法学研究としての意義】国際大会の場で理学療法の対象となるスポーツ外傷および障害についてデータ収集し、競技者が十分なパフォーマンスを発揮するための理学療法を構築するための基礎的データとする。<BR>
著者
河野 一郎 赤間 高雄
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

運動が健康の増進・維持に効果があるという考えが広く受け入れられるようになり、健康スポーツがますます盛んとなっている。本研究では健康の維持・増進に有効とされている有酸素運動が免疫機能とくに細胞性免疫機能に与える影響を検討した。有酸素運動の習慣をもつ成人では細胞性免疫機能とくにナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性が運動習慣のないものと比較すると男女とも高いことが明らかとなった。また、経時的にNK細胞活性の変動をみると、日々の運動量が増すに従い活性が高値を示していくことも明らかとなった。つぎに、このような有酸素運動がNK細胞活性へ与える影響の機序を探る目的でNK細胞にレセプターを持つカテコラミンなどのホルモンとの関係を検討した。急性の有酸素運動負荷により、各種ホルモンがNK細胞活性の変動の平行して変動することが明らかとなった。また、マウスを用いた実験系ではカテコラミンの共存下ではその濃度によりNK細胞の活性が影響を受けることも示唆された。かかる成績から有酸素運動が免疫に与える影響の機序には複数の因子が関与していると考えられた。また、情報伝達物質であるサイトカインの関与についても検討したが、運動により変動するという結果を得たのみで機序への関与については今後の課題となった。今後運動と免疫に関する研究をさらに進めるためには情報伝達物質の関与を含め様々な視点からのアプローチが必要と考えられた。
著者
河野 一郎 秋本 崇之 赤間 高雄 河野 一郎 福林 徹
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

簡易型SIgA測定キットの開発本年度はまず市販のSIgA特異的なモノクローナル抗体を用いて,比濁法による測定を行ったが,おそらく抗体自体の力価のあるいは抗体のエピトープの問題により良好な測定系を構築できなかった.そこで,比濁法に適応可能なモノクローナル抗体の作製を試みた.現在,クローンを選別しているところであり,本補助期間にはキットの開発までにはいたらなかった.しかし,キットの開発に必要となる基礎的なデータは得ることができ,今後の展開に利するところは大と考えられた.SIgAレベルと感染症の関係昨年度,2ヶ月に渡って30名の被験者から唾液を採取し,SIgAと上気道感染症の関係を調査し,SIgAの低下と,上気道感染症の発現に一定の関係があることを見出した.本研究成果は臨床スポーツ医学に掲載された.また,高強度トレーニング(試合期)のSIgAの変化と,心理的・肉体的ストレスに関する成果についてまとめ,論文としてアメリカスポーツ医学会の機関紙(Med Sci Sports Exerci)に掲載された.本研究の結果,SIgAと上気道感染症罹患リスクには一定の関係があることが明らかとなり,今後SIgAを上気道感染症リスク把握の手段として応用することが可能であることが本研究の結果により示されたと考える.また,SIgAの測定は非侵襲的であり,その応用範囲は大と考えられた.本研究の成果により論文発表5件(国内誌3件,国際誌2件),学会発表7件を公表することができ,基礎研究としては十分な研究成果が得られたと考える.
著者
河野 一郎 清水 和弘 清水 和弘 赤間 高雄 秋本 崇之 渡部 厚一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では,唾液中のヒートショックプロテイン70(HSP70)が競技選手および高齢者のコンディション評価指標としての有用性について検討した.一過性高強度運動で唾液HSP70が増加することを示した.また継続的な高強度運動で安静時のHSP70は顕著な変動はしないが,その原因として高強度運動に対するHSP70応答の個人差が考えられた.さらに継続的な運動で高齢者の安静時HSP70が高まり,さらにHSP70がT細胞活性経路の亢進メカニズムに関わる可能性が示された.以上より,唾液HSP70によるコンディション評価は,競技選手では個々の変動が異なるため検討が必要であり,高齢者では有用である可能性が示された.