著者
枝川 宏
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.183-190, 2015 (Released:2016-03-19)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツでは視力は重要である。しかし、スポーツと視覚の関係については、まだわかっていないことが多い。そのためスポーツと視覚の研究は様々な分野で行われていて、研究内容は多岐にわたる。なかでも、選手の視覚を解明しようとする研究は多い。 スポーツ選手の視覚の研究には脳の機能を中心に分析する研究と眼の機能を中心に分析する研究がある。眼の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は優れていて、視覚訓練で競技能力は向上すると考えている。我が国ではマスコミなどを通してたびたび紹介されている。しかし、脳の機能を中心に分析する研究者は選手の眼の能力は一般人とほとんど変わらず、視覚訓練で競技能力は向上しないと考えている。現在諸外国においては選手の視覚の研究は検査技術の進歩や眼の機能を中心に分析する研究に疑問点が多いことから、脳の機能を中心に分析する研究が主流になっている。 今回はこの2つの研究分野の違いとスポーツにおける視覚の重要性を説明して、今後眼科領域がスポーツ分野に果たすべき役割について考える。