著者
柏 祐太郎 大平 雅雄 阿萬 裕久 亀井 靖高
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.669-681, 2015-02-15

本論文では,大規模OSS開発における不具合修正時間の短縮化を目的としたバグトリアージ手法を提案する.提案手法は,開発者の適性に加えて,開発者が一定期間に取り組めるタスク量の上限を考慮している点に特徴がある.Mozilla FirefoxおよびEclipse Platformプロジェクトを対象としたケーススタディを行った結果,提案手法について以下の3つの効果を確認した.(1)一部の開発者へタスクが集中するという問題を緩和できること.(2)現状のタスク割当て方法に比べFirefoxでは50%(Platformでは誤差が大きすぎるため計測不能),既存手法に比べFirefoxでは34%,Platformでは38%の不具合修正時間を削減できること.(3)提案手法で用いた2つの設定,プリファレンス(開発者の適性)と上限(開発者が取り組むことのできる時間の上限)が,タスクの分散効果にそれぞれ同程度寄与すること.