著者
柏原 和子
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
関西外国語大学研究論集 (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.85, pp.55-65, 2007-03

John Updikeの代表作である「ウサギ4部作」の主人公ウサギ(Harry Angstrom)の母子関係を基に彼を取り巻く女性たちとの関係を分析し、女性たちがウサギの人生の中で果たす役割を考察する。ウサギは抑圧的な母と強い絆で結ばれており精神的にかなりの影響も受けてはいるが依存関係はない。彼には、社会の抑圧からの自由を求めて優越感を得るために、支配できる愚かな女性を求め、知的な女性を好まないという傾向は見られるが、彼の女性関係を分析すると、長期間にわたって関係を続ける女性は、彼の自己探索を理解してくれる女性であり、具体的にはRuthとThelmaがこれに当たる。彼女たちはウサギの生き方を理解し、存在を肯定することで、彼の自己探索の旅に加担している。これがウサギの人生の中で女性たちが果たす役割である。