著者
柏原 孝夫
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.623-628, 2008-05

途上国で社会的存在意義の高まる熱帯動物資源。南米は21世紀の農業を支配する。南米産業の特色として全面積の1/4以上が牧野で占められ、家畜の80%以上は畜牛である。熱帯(亜熱帯)林に恵まれた南米は、21世紀において途上国全体の1/2の畜肉を賄うであろうと予測されている。柏原は家畜繁殖改善計画チームリーダー(JICA・高官専門家)としてパラグアイ駐在時に、南米の畜牛が放牧に適した体型であると知った。米国では数種のインド牛(ゼブ牛)を交配してブラーマンを開発し、体質強健、耐暑性、ダニ熱耐性、1日増体量にもすぐれた品種を作ったが、パラグアイではネロール(インド牛オンゴール種のブラジル名)の方が飼養頭数が多い。これは皮膚の弛緩が少ない(腹垂がない)方が、放牧によるダニ等の体表被害が少ないため、ブラーマンより広く普及していると考えられる。共進会において、ネロールの方がブラーマンよりも高値で取引されていることからも人気の程が分かる。当時、日本のプロジェクトとして「受精卵移植」が南米で有名であったが、ETで生まれたアンガスがブラジルでも注目されていた。