- 著者
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染矢 正一
- 出版者
- 大分県立芸術文化短期大学
- 雑誌
- 研究紀要 (ISSN:02869756)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, pp.41-62, 1990-12-31
日本の大学生の多くは、一般教養の外国語科目として英語を履修している。英語が得意な学生ばかりであれば、教材を選ぶ教師は、その選定にあたりあまり苦慮する必要がないかもしれない。しかし、英語が得意でなかったり、英語にさほど関心がない学生を対象に授業をする場合には、教材の選定がことさら大切になってくる。学生の興味にできるだけマッチしたものを選び、その中で接点を求めながら英語力をつけさせる工夫が大切であろう。一般英語のクラスで学生の意見を調べてみると、大多数は「読み・書く」能力よりも、「聞き・話す」力を高めたいと願っている。万事にわたり≪国際化≫が唱えられる今日にあっては、この学生の声は当然のことと首肯できよう。しかし、≪日常会話≫だけを丹念に学習しても、ごく限られた範囲内でしか意思の疎通はできない。「読み・書く」能力を含めた総合的な英語力を向上させながら、「聞き・話す」英語の運用能力を養うことが肝要と思われる。いみじくも山浦昭雄が『やる気にさせる英語指導法』の中で指摘しているように、"リンゴが食べたい学生にニンジンを与える"ことばかりしていては学習意欲を無くさせてしまう。しかし、全体の栄養のバランスを考えると、ときには相手が厭がっても、"ニンジン"を与える必要がある。本稿では、昨年著したJiro Goes to Americaに言及しながら、「意欲を駆り立て、しかも学習効率のよい」教材とは何かについて考察してみたい。授業の内容と関連のある課題の提出の仕方にも、工夫次第によっては学生の興味を喚起しつつ、学習効率を高めることができるものがあるに違いない。この点についても一考した。