著者
藤井 聡 染谷 祐輔
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.481-487, 2007-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1 5 12

本研究では, 交通行動が居住地選択行動に影響を及ぼし, かつ, 居住地選択行動がさらに交通行動に影響を及ぼす, という形で, 交通行動と居住地選択行動に相互依存関係が存在するという仮説を措定した. それに加えて, 交通行動は, 転居を経てもなお, 習慣の効果により, その形態が持続されるであろうという仮説を措定した. 本研究では, これらの仮説より演繹される転居前後の交通行動, ならびに, 居住地選択行動との間の構造的因果関係を, 転居者を対象としたアンケート調査より得られたデータに基づいて検証したところ, その因果関係を支持する結果が得られた. 本稿では最後に, こうした結果の含意を議論することを通じて, 交通施策, 土地利用施策と行動変容施策の三者を一体的に展開することが, 望ましい都市と交通を期するためには重要であることを指摘した.