著者
古松 弥生 柳 許子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.77-85, 1975-03-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

ジャージーの特性を損なわず, 外観が美しく物理的性質の優れた縫い目を得る家庭縫製の最適条件を見いだすため実験を行なった.今回の実験計画の範囲では針目数, 縫い目方向, 編み地, 縫い目形式, 縫い糸等の影響が見られた.針目数は外観の3目/cm, 平面摩耗強度の5目/cmを除き他はほとんど7目/cmが良い.縫い目方向は外観, 引張り強度にはコース方向, 破裂強度, 平面摩耗強度, 引張り伸度にはウェール方向の縫合で良い結果を得た.編み地は縫いずれ率, 平面摩耗強度, 引張り伸度等には厚手ウェルトリップルが良い.縫い目形式は破裂にはジグザグ縫い, 平面摩耗強度には直線縫いが良い.縫い糸は破裂には上糸ポリエステルフィラメント・下糸ウーリーナイロン及び上糸下糸ともレジロンが好ましく, 縫い縮み率, 平面摩耗強度には上糸下糸ともポリエステルフィラメントが良い等, 衣服の用途, 縫合箇所により縫合条件を選択したい.しかし縫合布の引張り, 破裂に対し編み地の損傷はなく縫い糸切断が容易であった事から, 編み地に比較してニット用レジロン初め市販の家庭用ミシン糸は極めて弱く, 丈夫な縫い糸の市販が望まれる.