著者
古松 弥生 岡田 宣子 松山 容子 有馬 澄子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.919-925, 1989 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人女子の体幹の形状特性を, 年齢的変化に着目しながら類型的に把握することを目的としている。工技院の体格調査資料 (484名) を用いて主成分分析を行うことにより, 主成分を代表する計測項目を選定し, クラスター分析を行い体型の類型化を試みた.1) 得られた主成分 (Table1) は第1主成分としてはサイズファクター, 第2主成分としては体幹部の厚みに対する肩部の幅のプロポーション, 第3主成分としては体幹の丈と肩部の幅のプロポーション, 第4主成分としては肩部の傾斜度, 第5主成分としては体幹上部の丈と下部の丈とのプロポーションと解釈された.形態特徴を表すこれらの主成分は年齢が加わってもあまり変化しない.しかし, 主成分へのかかわりは年齢により相違すると考えられる.2) 計測項目・示数項目の検討から, 体幹の厚みを表す腰部や胸部の矢状径, および体幹の太さを表す胸囲・胴囲などの周径項目は, 加齢とともに増加傾向を示し, 体幹の厚み・太さが著しく増加し, 腰囲/胴囲・腹囲/胴囲などの年齢的変化 (Fig.1, Table4) から, ずん胴型へ移行していることが確認された.3) 体幹の形状の情報を表す主成分に強いかかわりをもつ項目として, 胸囲・背肩幅・背丈・B.N.P.-W.L.・W.L-座面・肩傾斜の6項目を選定し, クラスター分析により体型の類型化を行った.その結果12個のクラスターが得られ, 年齢グループ別の分析でもほぼ同様なクラスターが得られた (Fig.2, Fig.4) ことから, クラスターそれぞれは体型の個体差を表す類型であると判断される.一方, 各クラスターの身体部位の計測値 (Table5) や出現率 (Fig.3) には年齢の影響がみられた.これらは, 成人期においては体型の個体的特徴は年齢を越えて持続すること, しかし年齢の影響は同一類型でも具体的なサイズや寸法を変化させ, さらに各類型の出現頻度の変化を引き起こしていることを明示するものである.
著者
古松 弥生 柳 許子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.77-85, 1975-03-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

ジャージーの特性を損なわず, 外観が美しく物理的性質の優れた縫い目を得る家庭縫製の最適条件を見いだすため実験を行なった.今回の実験計画の範囲では針目数, 縫い目方向, 編み地, 縫い目形式, 縫い糸等の影響が見られた.針目数は外観の3目/cm, 平面摩耗強度の5目/cmを除き他はほとんど7目/cmが良い.縫い目方向は外観, 引張り強度にはコース方向, 破裂強度, 平面摩耗強度, 引張り伸度にはウェール方向の縫合で良い結果を得た.編み地は縫いずれ率, 平面摩耗強度, 引張り伸度等には厚手ウェルトリップルが良い.縫い目形式は破裂にはジグザグ縫い, 平面摩耗強度には直線縫いが良い.縫い糸は破裂には上糸ポリエステルフィラメント・下糸ウーリーナイロン及び上糸下糸ともレジロンが好ましく, 縫い縮み率, 平面摩耗強度には上糸下糸ともポリエステルフィラメントが良い等, 衣服の用途, 縫合箇所により縫合条件を選択したい.しかし縫合布の引張り, 破裂に対し編み地の損傷はなく縫い糸切断が容易であった事から, 編み地に比較してニット用レジロン初め市販の家庭用ミシン糸は極めて弱く, 丈夫な縫い糸の市販が望まれる.