著者
柳 長門 伊藤 悟 寺﨑 義朗
出版者
公益社団法人 低温工学・超電導学会 (旧 社団法人 低温工学協会)
雑誌
低温工学 (ISSN:03892441)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.10-22, 2019-01-20 (Released:2019-02-11)
参考文献数
56
被引用文献数
1 3

Aiming at application to future fusion reactor magnets, the development of large-current capacity high-temperature superconducting (HTS) conductors has started around the world. The present status of various conductor concepts and their properties are introduced. Future prospects are also discussed.
著者
柳 長門 本島 厳 高山 彰優
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

磁場閉じ込め方式核融合炉の燃料供給のために、高温超伝導リニアカタパルトを用いた革新的なペレット射出方式を提案している。これは、真空チューブ中に敷設した永久磁石のレール上で高温超伝導薄膜を用いた超小型の「磁気浮上列車」を電磁加速し、最終的に10 km/sの射出速度を得ることをターゲットとしているものである。本課題は、その原理実証を行う研究である。これまでに、電磁加速を行うための電磁石コイルについて製作・改良を行うとともに、スイッチング回路も製作・改良して、超伝導磁気浮上列車の連続的電磁加速が安定に行えるようになった。現状、列車の浮上と加速にはREBCO系高温超伝導バルク材を用い、電磁石コイルは直径100 mm、長さ120 mmのアルミニウム製ボビンに直径1 mmの銅線を各1000ターンずつ巻いたものを合計8個製作した。直流電源から接続したIGBT半導体素子を用いた高速スイッチング回路の構築と改良を行い、レーザ・光センサとマイコンを用いた自動制御システムが完成した。これらを用いて、円形レールにおいて、長時間の連続加速が行えるようになった。一方、将来のシステムについての検討を並行して進めた結果、数百m/sに至る高速走行を実現できた際は現在の制御システムでは原理的に応答が追い付かなくなることが判明した。そこで、当初の目標とした磁場閉じ込め核融合炉のための超高速燃料ペレットの供給ではなく、慣性核融合炉のための比較的低速の燃料ペレットの供給に対して有望となるよう、速度の最終目標は100 m/s程度とするも、高精度の速度制御をめざすことに方針転換した。一方、高温超伝導薄膜に誘起される電流と磁場の空間分布に関する数値計算を進め、特に、複数の電磁石を用いた場合の連続加速が扱えるようになった。併せて、高温超伝導バルク材に誘起される遮蔽電流と電磁加速の関係も定量的に明確となった。