著者
河野 孝央
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

自然の放射性同位元素を含む材料をもとに製作した自然放射能線源を用いて「30 分測定実 習」法を開発した。この方法を円滑に進めるため、線源スタンドやデータシートを作成し、放 射線業務従事者の新規教育や、家庭教育に適用して、有効性を確認した。さらに高校生を対象 にした放射線教育では、分担測定法を併用して「30 分測定実習」法を適用した結果、分担測定 法には受講生の積極的な参加を促すなど、有用な教育効果のあることが分かった。
著者
柳 長門 本島 厳 高山 彰優
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

磁場閉じ込め方式核融合炉の燃料供給のために、高温超伝導リニアカタパルトを用いた革新的なペレット射出方式を提案している。これは、真空チューブ中に敷設した永久磁石のレール上で高温超伝導薄膜を用いた超小型の「磁気浮上列車」を電磁加速し、最終的に10 km/sの射出速度を得ることをターゲットとしているものである。本課題は、その原理実証を行う研究である。これまでに、電磁加速を行うための電磁石コイルについて製作・改良を行うとともに、スイッチング回路も製作・改良して、超伝導磁気浮上列車の連続的電磁加速が安定に行えるようになった。現状、列車の浮上と加速にはREBCO系高温超伝導バルク材を用い、電磁石コイルは直径100 mm、長さ120 mmのアルミニウム製ボビンに直径1 mmの銅線を各1000ターンずつ巻いたものを合計8個製作した。直流電源から接続したIGBT半導体素子を用いた高速スイッチング回路の構築と改良を行い、レーザ・光センサとマイコンを用いた自動制御システムが完成した。これらを用いて、円形レールにおいて、長時間の連続加速が行えるようになった。一方、将来のシステムについての検討を並行して進めた結果、数百m/sに至る高速走行を実現できた際は現在の制御システムでは原理的に応答が追い付かなくなることが判明した。そこで、当初の目標とした磁場閉じ込め核融合炉のための超高速燃料ペレットの供給ではなく、慣性核融合炉のための比較的低速の燃料ペレットの供給に対して有望となるよう、速度の最終目標は100 m/s程度とするも、高精度の速度制御をめざすことに方針転換した。一方、高温超伝導薄膜に誘起される電流と磁場の空間分布に関する数値計算を進め、特に、複数の電磁石を用いた場合の連続加速が扱えるようになった。併せて、高温超伝導バルク材に誘起される遮蔽電流と電磁加速の関係も定量的に明確となった。
著者
永田 武
出版者
核融合科学研究所
雑誌
Research report (ISSN:04694732)
巻号頁・発行日
vol.44, 1965-12

Solar plasma streamの概念確立は,1961年京都の「宇宙線と地球嵐の国際会議」においてなされた。これに至る時代のhistorical surveyを試みる。オーロラの直視できるスカンジナビャでは,伝統的にsingle particle beamの地球磁場との相互作用としてこれを理解しようとしてきた。(Birkelandのモデル(Terrella)実験(1898);1941まで続くStormerの解析;Alfvenの仕事など)一方magnetic stormの現象を,太陽からの完全電離した衝突のない中性ガス,即ちcollisionless plasmaの流れ(solar wind)により説明しようとしたのはChapmanである。(Chapman and Ferraro 1931) solar windの安定性,地球磁場との相互作用による地球磁場の圧縮とcavityの形成,ring currentの生成等が論じられ(Chapman-Ferraro 1940; Ferraro 1952), Nagata, Spreiter等によりcold plasmaと磁場のモデル的計算が進められた。plasma流が太陽の磁場をもって出てくることは,1939年Alfvenによって指摘されており,これを考慮したcavityの形がAbe等によって計算された(1954∿55)。この時neutral pointが発生するが,その重要性は近年になって観測的にも確認されている。
著者
妹尾 義文 清水 喜輝 萩原 輝雄 林 泉
出版者
核融合科学研究所
雑誌
IPPJ-DT : 資料・技術報告
巻号頁・発行日
vol.36, pp.153-158, 242, 243, 1973-02

In this paper, the experimental results on the triggering characteristics of a field distortion type switch are described. The main electrodes of 35mm diameter which are made of brass are separated by 13mm. A triggering electrode of 2mm diameter is made of tungsten. The experiments are performed under the condition of atmospheric pressure. The potential of the triggering electrode is adjusted to coincide with the space potential between the main electrodes. The influence on the triggering characteristics caused by the relative position of the trigger pin to the main electrodes, the triggering voltage and the polarity of the triggering voltage are investigated.
著者
近藤 正聡
出版者
核融合科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

核融合炉のブランケットシステムにおいて液体金属や溶融塩を自己冷却型トリチウム増殖材として用いる事が検討されている。本研究の目的は、これらの高温融体から発生する蒸気の基礎特性を理解し、それによる材料腐食の機構を明らかにすることである。そこで、金属蒸気中で腐食試験を実施する事が可能な装置を設計し開発した。この装置は、金属蒸気場の条件として重要な蒸気圧を測定する機能も有している。腐食試験において材料表面に付着したリチウム等の金属元素の微量分析の手法を開発した。
著者
森下 一男 秋山 毅志 田中 謙治 岡島 茂樹 中山 和也
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

2波長テラヘルツレーザーを用いた計測システムを大型ヘリカル装置の高瀬能プラズマや、 将来の核融合装置のために開発してきた。これまで、我々はCH3OD レーザーの光励起を用 いて波長57.2 ミクロンと47.7 ミクロンの2 波長レーサーを開発してきた。ここでは、2 波長 レーサーを用いた計測システムの開発や、その原理実証としての2 波長レーザーシステムの開 発そして同装置を用いた機械的振動の補正について記述する。
著者
坂本 隆一
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ステレオ視高速カメラとバンドルファイバアレイを相補的に用いた高時間・空間分解能観測を用いて,高温プラズマ中へ入射された固体水素ペレットが溶発して形成される溶発プラズモイドの詳細観測を行った.その結果,溶発プラズモイドは最大100kHz程度の周波数で分離し, 10数μsの寿命の間に~15cm程度低磁場側に輸送されることを明らかにした.この結果は,実験的に観測されているペレット溶発位置と実効的な粒子デポジション分布の差異を説明することができる.
著者
高田 卓
出版者
核融合科学研究所
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-04-01

断熱消磁冷凍機(ADR)用の小型のボビンレス超伝導ソレノイド磁石の開発に成功した。極細の径0.127mmのNbTi線を用い、1N以下の張力コントロール可能な専用に開発した巻線機を用いての製作を成功させた。作成されたマグネットを液体ヘリウムの浸漬冷却によって約4.2Kの環境下で励磁試験を行った。デザインの前提としていた4A通電時中心磁場2Tの仕様を満たすことを確認した。またさらに高い6A通電で3Tを記録した。クエンチが起こる電流値まで通電していないが、NbTi線の臨界磁場、臨界電流の特性から推測される限界の90%以上の通電電流でクエンチを起こしていないということは、機械的に問題なくエポキシの選定等を含む製作方法に問題が無いことを示している。これにより、既存のADRと置き換えると、数%~20%程度の冷凍能力向上が期待できる。また、一方で断熱消磁冷凍機用の磁気シールドを多層化する方法について検討を行った。原理検証を行うため、上述の超電導磁石を用いて、溶接などの複雑な方法を用いずとも多層シールドによって均一な磁気遮蔽が行えることを示した。これを元にシミュレーションによって、断熱消磁冷凍機用磁気シールドのデザインを行った。その結果、磁気シールドの多層化による効果は大変大きく、重量の半減させる技術となりうることをしめすことができた。以上の結果からADRシステムの軽量化に資するマグネットのボビンレス化及び磁気シールドの多層化という2つの技術が製作可能であり、宇宙機搭載に貢献する事を示すことが出来た。
著者
川口 市郎
出版者
核融合科学研究所
雑誌
Research report (ISSN:04694732)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.106-111, 1970-01
著者
小森 彰夫 大藪 修義 森崎 友宏 増崎 貴 庄司 主 小林 政弘 鈴木 康浩 水口 直紀
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

先行研究で大きな成果を挙げたローカルアイランドダイバータを,定常運転に対応した閉構造ダイバータに発展させ,大型ヘリカル装置(LHD)に設置した.初期実験では,閉構造化によって中性粒子が数値実験の予測通りに圧縮されていることが確かめられた. また,閉構造ダイバータ配位と共存可能なプラズマ周辺部のエルゴディック層を,外部摂動磁場によって変化させることで,ダイバータへの熱・粒子輸送を制御できることを示した.
著者
秋山 毅志
出版者
核融合科学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、機械振動が誤差要因とならないDispersion干渉計に、光弾性変調器を用いた変調強度比計測による位相差抽出手法を適用し、高精度化を図った。周波数安定化させた連続発振レーザーでは、パワー密度が小さいために通常2倍高調波の発生が難しいが、非線形光学結晶AgGaSe_2を用いて、計測に十分な2倍高調波成分を生成した。プラズマを模擬するセレン化亜鉛板を用い、正しい位相差を計測・抽出できることを示し、提案した手法の有効性を示した。機械振動を模擬した計測も行い、光学的に機械振動がキャンセルされ、計測結果に誤差をもたらさないことを確認した。
著者
武藤 貞嗣 森田 繁 舟場 久芳
出版者
核融合科学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

X線スペクトルイメージ測定用試作器を製作して較正実験を行なった。本測定法は、光源の輝度が大きいほどエネルギー分解能と時間分解能が両立して向上する。よって、高エネルギー加速器研究機構・放射光科学研究施設・ビームライン14Cに於いて放射光を用いた実験を行なった。二結晶分光器から射出される幅0.3 mmの二次光を単色光として直径1 mmのタングステンピンホールに通し、ダイナミックレンジが16 bitのX線CCDカメラを用いて画像測定を行なった。その結果、試作器の動作が設計通りであることを確認できた。また、スペクトルを求めるために必要な数値を得ることができた。
著者
石部 行雄
出版者
核融合科学研究所
雑誌
IPPJ-DT : 資料・技術報告
巻号頁・発行日
vol.78, pp.12-13, 1980-05

この分野の研究を, Lichtmannなどにしたがって, 測定試料の表面状態の異なる3つのグループに概略分類することができよう。1)主としてClean Surface上に単分子層以下のガスや蒸気が吸着している場合。2)酸化物, ハロゲン化物, 油など電子衝撃によって容易に分解する物質によって表面を構成している。3)表面のCharacterizationが不明確な"technical" surface。上に分類された実験は測定目的, 測定方法, 材質, 電子エネルギーなどが相違している。1)に属する実験では, 脱離するイオンのエネルギー分布, 脱離に必要な電子のThreshold energy等から脱離の機構について, また脱離断面積の測定から吸着状態などの情報がえられている。2)に属するものは, 金属酸化層, ハロゲン化合物などについて測定され, 脱離イオンや, ガスなどの種類やThreshold energy・gas・yield(分子/電子)などが測られ, 例えば, ガラスの種類によりgas yieldが1桁近く異なり, またシリコン油で汚染された表面からの放出ガスの種類や油の重合反応などの資料が得られている。3)に属する"Technical Surface"は一般に真空用材料として使われており, 内部に不純物を含有し, 表面も汚染や酸化しており, その上にガスが吸着している。したがって吸着ガスの放出と共に, 電子のエネルギーによってPenetration rangeが変わり, その範囲のガス原子が電子に刺激されて表面に達し, そこで再び電子衝撃脱離する。そのため放出するガスの種類量が, 材料の種類, 表面加工・研磨・洗淨・真空焼き出し, 放電洗淨などとの関係で調べられており, それらの情報をもとにガス放出を減らすことが考えられている。次に電子衝撃脱離によってほゞ明らかになっている点を記すと1)電子のThreshold energyは, 10eVの桁で電子から吸着ガスへのエネルギーの移行は弾性衝突によるのではなく電子励起によると考えられている。2)放出イオンエネルギーの最大値や分布の巾は, 気体分子から原子イオンが生ずるとき比べてそれぞれ1桁近く大きい。3)脱離反応のcross section σは, 気体分子のイオン化又は, 励起とほゞ同じく電子エネルギーが100eV前後で最大値に達し, それより高い値では急速に小さくなる。σの値は, 吸着状態によって, 気体分子の電離の値に近い10^<-6>cm^2から数桁小さいものまである。4)イオン脱離断面積σ_iは中性ガス脱離断面積σ_<ne>に較べて, 1&acd;2桁小さい。5) 1ケの電子当りのガス放出率Y=nσで表わされ, σ一定のとき(同一吸着状態)は吸着分子数に比例する。6)二種以上のガス成分が存在し, それらが表面で反応生成物を作るときは, それぞれの値より大きくなる。
著者
渡利 徹夫 江尻 晶 森下 一男 佐貫 平二 渡辺 二太 西村 清彦 天野 恒雄 成原 一途 岡本 正雄 笹尾 真美子 霍 裕平 沈 慰慈 沈 学民 李 健剛 張 大慶 王 孔嘉 兪 国揚 王 兆申 方 瑜徳 張 暁東 万 元熈 万 宝年 邵 育貴 朱 思錚 武藤 敬 関 哲夫 熊沢 隆平 大久保 邦三 岡村 昇一 足立 圭三 東井 和夫 佐藤 哲哉 孟 月東 藤原 正巳 羅 家融 藤田 順治 SHEN Xuemin SHEN Weici FANG Yude WANG Zhaoshen WANG Kongjia YU Guoyang HUO Yuping WAN Yuanxi WAN Baonian LI Jiangang ZHANG Daqing ZHANG Shaodong LUO Jiarong MENG Yuedong SHAO Yugui ZHU Sizheng 万 元煕 李 建剛 愈 国揚
出版者
核融合科学研究所
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本計画立案時点において、トーラス型プラズマ装置として核融合科学研究所(NIFS)ではJIPP T-II U及びCHSが稼働中であり、準定常運転を目指す大型のLHDが建設中、他方合肥の等離子体物理研究所(ASIPP)ではHT-6M装置が稼働中、準定常運転を目指す大型のHT-7が建設中であった。またこの時点では「高ベータプラズマの閉じ込め研究」を共同研究の主要なテーマとしたが、基本となるプラズマ加熱が未だうまく行かない状態にあったASIPP側では大電力イオンサイクロトロン加熱の実現をHT-6Mの第一優先項目としたので、本計画もこの方面への研究協力に力点を置くことにした。本計画の3年間に、日本から合肥への派遣延べ21名,合肥から日本への招聘延べ18名を含む交流が実行された。平成5年度:ASIPPは採用していたカーボンリミターの材料の選択に問題があるとしてこれを撤去した。引き続きイオンサイクロトロンアンテナのファラデイシールドと呼ばれる部分の構造に問題があるというNIFS側の指摘に基づきこれも撤去した。これらの結果として、加熱の効果を示す「アンテナの負荷抵抗の増大」が観測された。NIFSのイオンサイクロトロン加熱において実績のあるチタンゲッターをHT-6Mに持ち込み不純物の制御を試みた。その結果ターゲットプラズマの質が向上した。入射電力は多少増大したものの未だ本格的な加熱には至らなかった。平成6年度:NIFSにおいて実績のある、固体ボロンを使ったボロニゼーションを試みた。不純物の流入が減少し、表面加熱に関する実験を行なう事が出来た。不純物の問題はいくらか改良されたものの、アンテナは絶縁破壊が起り大電力入射を妨げている。これを解決するために「長いアンテナ」を製作することにした。NIFSは2イオン共鳴加熱に移行することを主張していたが、HT-6Mでは磁場を0.9T以上にする上での技術的問題とASIPP内の実験テーマの優先順位の問題があって、2イオン共鳴加熱への移行は持ち越すこととなった。NIFSではLHDのイオンサイクロトロン加熱のための技術開発研究を行なっている。この一部としてASIPPの同軸切替器を改造して使用することにした。平成7年度「長いアンテナ」を装着し、第2高周波加熱以外に2イオン共鳴加熱の実験も行なった。予備的なものであったが、水素と重水素の成分比等の基本データも