著者
柳下 幸太郎 広瀬 統一
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-43, 2016-11-12 (Released:2019-05-27)
参考文献数
29
被引用文献数
1

本実験では骨盤傾斜の違いが動作の遅速に与える影響を検証することを目的とした.被験者は健常な男子大学サッカー選手13名.方法は骨盤自然肢位(n.p)と後傾位(p.t)の2つの姿勢をとりダッシュを行った.評価は床反力,筋活動量(%MVC),重心位置を比較した.実験結果は動作開始時間において右脚離地までの時間がp.tのほうが有意に遅い値を示した.重心位置は静止時,体幹移動開始時の局面でp.tの方が後方にあった(p<0.05).床反力は水平方向,鉛直方向共にp.tが有意に小さい値を示した(p<0.05).%MVCではp.tが大腿二頭筋と腹直筋が共に有意に低い値を示した.体幹傾斜角度を時系列にみると,p.tでは開始からの振れ幅が大きかった.よって,後傾位は静止時の重心の後方位置,体幹傾斜変化の増大,ハムストリングスの不十分な筋活動の3要因により,動作時間の遅延につながったと示唆された.