著者
柳下 章
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-5, 2021 (Released:2021-01-29)
参考文献数
17
被引用文献数
1

Kumarは硬膜,特に脊柱管前部硬膜に欠損あるいは損傷があり,髄液漏出を呈する疾患群に対してduropathiesという概念を提唱した.脳表ヘモジデリン沈着症(superficial (hemo) siderosis,以下SSと略記)と多髄節性筋萎縮症(multisegmenal amyotrophy,以下MSAMと略記)はduropathiesである.SSの硬膜欠損は,脊柱管内および頭蓋内手術時の不完全な硬膜閉鎖による例と,原因不明例がある.後者は大多数がC7/Th1~Th2/Th3の前部硬膜にある.MSAMの自験7例全例に,C3脊髄前角にT2強調像にて高信号を認めた.その内6例に硬膜欠損が判明し,C7/Th1~Th2/Th3の前部硬膜にあった.SSと同様な部位であり,同部位のFIESTA(fast imaging employing steady state acquisition)横断像が必須である.