著者
柳内 忠剛
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
思想と文化
巻号頁・発行日
pp.477-492, 1986-02-05

我が国においては近年とみに国際化の必要性とか国際人の養成とかが各方面で叫ばれ,また我が国は国際的に誤解されているとか,文化摩擦とかいうことが一般の話題にもなるようになってきた。そしてそのような話題を論ずる際に,しばしば日本と外国,あるいは日本人と外国人の間のコミュニケーションが問題点のひとつとして言及される。そこで本稿では異文化間のコミュニケーション,特に日本文化に帰属する我々日本人と日本文化に属さない日本人ではない人々とがコミュニケートしようとするとき,どのようなことが問題として生じ,それらを解決するには,またはより好ましくは,そのような問題が生じないようにするためには,我々にはどのようなことが必要であるかを考察し,その際大方の日本人の閉ざされた意識を解放することが何よりも大切であることを指摘する。