著者
柳川 定春
出版者
THE MAMMAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.187-188, 1972

Mammals in Hawaii, P.Quentin Tomich著, 238ページ, Bishop Museum, 1969<BR>著者はハワイ島のホノカにあるハワイ州立防疫調査研究所に勤務する獣類の研究者で, おもにネズミ, マングースの生態を調べている。この著書にはクジラ, イルカを含めた44種が45枚の写真とともに述べられ, ハワイ群島の地図が1葉ついている。<BR>この群島の陸上にすむ獣類のほとんどは輸入して放されたか, 船から侵入したものであるが, その渡来について各種類ごとに正確な年代をあげ, 現在の生息状況, 被害などについて詳しく述べてあるのでこの群島の獣類相と, 輸入獣類の生物相にあたえた影響を知るのに有益である。とくに, 1883年9月30日にハワイ島のヒロで72頭のマングースがネズミの天敵として放たれたが, いまでは全群島にすみつき, ネズミ駆除の効果はあがらずかえって砂糖キビを食べたり, ニワトリを襲ったりして産業に大きな害をあたえるにいった経過などが文献をあげて説明されている。全般としてハワイ群島の獣類を知るのにこのうえもない本である。<BR>(Bishop Museum, Honolulu, Hawaii発行, 定価5ドル) 。