著者
柳澤 友穂
出版者
三田図書館・情報学会
雑誌
Library and information science (ISSN:03734447)
巻号頁・発行日
no.69, pp.83-102, 2013

短報【目的】本研究の目的は, 市民協働の政策立案における学習過程を明らかにし, そこで必要となる情報・資料の収集, 組織, 共有, 発信に積極的に関与する図書館の可能性を検討することである。【方法】研究方法として, 市民協働の条例・計画策定に携わった関係者への聴き取り調査とその分析を行った。具体的には, 小平市, 所沢市の条例・計画策定に携わった関係者への聴き取り調査を行い, そこで得られたインタビューデータと関連資料の分析を行った。【結果】分析の結果, 市民協働の政策立案の学習過程における7 つの論点を明らかにした。さらにそれらの論点を知識・情報状態に関わる学習と精神状態に関わる学習に分け, それに対する図書館の支援を明らかにした。具体的には, 政策立案の準備段階においては, 図書館は職員に対する調査研究への情報提供や市民協働事業への経験不足を補うための機会の提供を行う。さらに政策の立案段階の前半では, 市民協働の会議体の構成員に対して, 政策に関する予備知識を補う基本情報の提供や構成員の関心や議論に合わせた調査・相談などを行う。そして, 政策の立案段階の後半では, 多くの市民が政策に関心を持ってもらうため, 市民協働の会議体構成員と市民が政策に関して議論する機会を提供する。