著者
柳瀬 佳子
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.9-17, 1995-09-30

現代社会での女子青年の道徳意識を知るために,向社会性及び慣習性を含む質問紙調査を行った。向社会性については他者が援助を求めてきた時に応じる援助行動を行うと答える割合が多く,積極的に向社会的行動を起こすと答える割合が少なかった。能動的な向社会性の中でも「バスや電車の中でお年寄りに席をゆずる」という事柄には8割の女子学生がかかわると答えているが,それ以外の事柄についてはそれほどかかわる比率は高くない。受動的な向社会性の各項目についてはどれもかなり高い比率でかかわると答えていた。同じ向社会的行動であっても援助を求められるという状況のときの方が援助行動が行われやすい。慣習性については,男性の職業や女性の職業と昔のように性別で職業が分類されないことや,ニューハーフのような性転換をした人もそれほど不思議だとは思われなくなっている。社会の変化に伴った道徳意識があるようである。