2 0 0 0 層の行灯

著者
柴崎 幸次
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.12, no.12, pp.108-111, 2007-03-30

「層の行灯」は、和紙を何層にも重ね貼りし、透過した光の陰影の差で不思議な立体感を創出する照明器具である。この作品は明るい場所に置くと和紙に包まれた白い箱に見えるが、暗い環境で内部の照明を灯すと複雑な"だまし絵"のような立体感が現れ、より暗い環境になると立体感はさらにリアルで迫真性が表現される。和紙は楮や雁皮の灰煮和紙を使用し、重ね貼りによる照明の光に和紙そのもの色味を生かし陰影を表現している。現代の日本の住環境は、全ての部屋が相当明るくなっているが、襖や壁紙などにもこだわる日本の住宅には行灯のような小さな光での演出もおもしろく、そういった生活観が照明デザインにより再評価されることを期待している。
著者
柴崎 幸次 小山 奈緒子 太田 晶 陸 雅然
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.28-33, 2010

「清須市あいでんてぃてぃ」は、平成20年度、愛知県立芸術大学柴崎幸次研究室が清須市より受託した研究事業の略称である。平成17年〜21年に4つの町が合併して誕生した清須市の地域特性と魅力を再評価するための調査研究と、そこから見つけ出された清須を象徴する作品により構成されている。元々、別の町民であった清須市民が、合併による新しい市を知ることや街としての一体感を共有するために、調査によって見出された清須の個性を、1)風景と人のイラストレーション、2)現況写真を含む聞き取り調査によるブログサイト、3)美濃路の旧町名を表現したフラッグのグラフィックデザイン等の作品にまとめ表現した。
著者
柴崎 幸次 伊藤 美穂 日比野 洋二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.14-17, 2009

言万葉の絵樹(ことのよろずはのえじゅ)は、平成20年4月に竣工した学校法人奈良学園登美ヶ丘キャンパス新築事業において、学園の教育方針と精神的象徴として計画されたサイエンスホールの一連の壁画計画である。特注和紙に、様々な生き物や人影が隠れた大樹の絵図をプリントし、その葉の部分に"科学者が残した言葉"をフォログラムシートとシルバー色のシルクスクリーン印刷により施し、人の発見や感動、自らの失敗等の経験の言葉が絵図の中に構成されている。素材、表現、コンテンツ等のすべてが、その壁画の精神性を象徴するデザインとなっている。
著者
柴崎 幸次 高柳 泰世 滝川 泰代 乗松 良昌 白井 夕子 小野崎 定浩 門脇 麻友美 岩田 光令
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 = Annual design review of Japanese Society for the Science of Design (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.36-39, 2008-03-30
被引用文献数
1

『弱視者いろはカルタ』は、弱視者問題研究会が全国の弱視者の会員から募った川柳をもとに、そのシチュエーションをユーモラスにイラスト化し弱視者の日常生活についてわかりやすく解説したカルタである。このカルタは一般視力者にも弱視者にも使ってもらえるよう、弱視の見え方や知識を学ぶことができるようカードデザインにも工夫を凝らしている。カルタの構城は[読み札]と[絵札]の組み合わせで、[読み札]は黒地に白抜き文字のゴシック系書体を基本とし、裏面は読み出しの1文字のみレイアウトしている。[絵札]は、6人の弱視者キャラクターを設定し、そこで繰り広げられる弱視者の日常風景を漫画タッチで描き、裏面には弱視の症状や病態、弱視者の道具類など弱視に関連する知識をテーマごとに詳しく解説している。