- 著者
-
柴田 恵美子
- 出版者
- 動物臨床医学会
- 雑誌
- 動物臨床医学 (ISSN:13446991)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.4, pp.158-164, 2015
青少年のいじめや自殺などの社会問題に対処する活動の1つとして,うさぎ,モルモット,チャボなどの学校飼育動物を「生きた教材」として有効に使う「命の教育」が成果をあげている。我々は2013年12月に名古屋市において小学校の飼育の実態を調査し,その前後の2010年から2014年にかけて行った小学校の生活科の動物ふれあい教室,教員セミナー,放課後学級における動物ふれあい教室,児童飼育委員会への飼育指導,市民セミナーなどの支援活動について,教員を対象にアンケート調査を行った。アレルギー,休日飼育など解決すべき問題はあり,飼育は減少傾向にあるが,学校動物飼育は体験を通して子供の「命の教育」に成果を上げていると推測された。そして,名古屋市という都市型の小学校における課題は,学校飼育を減少させないことであり,獣医師は教育関係者へ動物介在教育の意義を周知するために,保護者,行政機関と協力して,丁寧な活動を継続しなければならないことを再認識させられた。