著者
大塚 麻揚 天谷 真奈美 柴田 文江
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.181-187, 2002
被引用文献数
2

本稿では、地域リハビリテーションやエンパワーメントが重要視されるようになってきた精神保健福祉の領域で欠かすことのできない、障害を持つ人自身の主観的側面について述べる。主観的側面の中でも特に重要と思われる自己効力感を取り上げ、関連が深いとされる自尊感情とともに概説する。わが国の自己効力感に関する過去の文献から次のようなことが言えた。(1)自己効力感は、健康教育、患者教育を中心に幅広い分野で検討および活用され、その有用性が確認されている。(2)自己効力感の概念は、精神障害者支援においても取り入れられ、検討がなされており、有用性が示唆されている。今後の課題として、精神障害者の一般性自己効力感に関する検討、自己効力感の発達的側面に関する検討、すなわち自己効力感が育まれていく過程やその支援の検討、および精神障害者自身の言葉や体験に基づく自己効力感の検討があげられる。