著者
松成 修 鍋田 祐介 山村 亮太 柴田 智隆
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.254-259, 2021 (Released:2022-03-30)
参考文献数
12

症例は93歳男性.重症熱中症による痙攣後のTodd麻痺のため経口摂取が困難であり,経鼻経管栄養を実施していた.偽痛風の診断にて投与開始したロキソプロフェンナトリウムと,同じタイミングで投与されたミヤBM®の投与開始後に腹痛を訴え,CT検査・レントゲン画像にて門脈気腫をともなう胃粘膜気腫を認めた.気腫性胃炎と診断したが,安静と抗菌薬投与による保存的加療によって胃全摘出を免れることができた.内視鏡検査により採取した胃粘膜の培養検査にてClostridium butyricum(以下,C. butyricumと略)が分離同定され,気腫性胃炎の起因菌と考えられた.カテーテルを用いた栄養管理にてC. butyricumによる気腫性胃炎が発症したと考えられた.整腸剤として投与されるミヤBM®の投与が人体に悪影響を及ぼすことがあることはあまり知られていない.気腫性胃炎も治療法が確立していない稀な病態であり,適切な対応が必要である.
著者
一万田 充洋 衛藤 剛 中嶋 健太郎 平塚 孝宏 赤木 智徳 柴田 智隆 上田 貴威 白下 英史 猪股 雅史
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.214-221, 2017 (Released:2017-03-30)
参考文献数
26
被引用文献数
3

目的:大腸癌手術の化学的腸管処置におけるカナマイシン(KM)+メトロニダゾール(MNZ)併用投与の有用性をSSIサーベイランスデータに基づき明らかにする.対象と方法:2010年1月から2015年12月までに行った大腸癌手術344例を術前の化学的腸管処置の方法により3群(抗生剤なし群178例,KM単独投与群87例,KM+MNZ併用投与群79例)に分けて創部SSI発生率を検討した.また,創部SSI発生と各リスク因子の関連について単変量および多変量解析を行った.結果:KM+MNZ併用投与群における創部SSI発生率は他の2群と比較して有意に低値であった(ともにP<0.05).創部SSI発生のリスク因子は男性(P=0.035),KM+MNZ併用投与群以外(P=0.011)であった.結語:大腸癌手術の化学的腸管処置における術前KM+MNZ併用投与は創部SSIの発生率低下に有用と考えられた.