著者
柴田 武志 赤木 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.551, pp.117-122, 2008-03-13

本稿では,連続発話音声中に含まれる音響特徴量を静的な特徴,および動的な特徴に分類し,これらがどのような順序で男声・女声知覚に寄与しているか明らかにすることを目的とする,(1)声質変換モデルを用いて連続発話音声から静的特徴および動的特徴を表すパラメータ値を抽出する.(2)各パラメータ値が男声・女声で違いがあるかどうかを確かめるためにMDSによるパラメータ値の分析を行う.(3)MDS分析によって,違いが見られた特徴量を表すパラメータ値が男声・女声知覚にどう影響を与えているかどうかを調べるために,パラメータ値を平均した平均音声と,男声・女声の静的特徴,および,動的特徴を表すパラメータ値とを入れ替えた音声を合成し,男声・女声を判別する聴取実験を行った.その結果,男声・女声知覚には静的特徴である平均基本周波数とスペクトル包絡が大きな影響を与えており,次いで,動的特徴である基本周波数の変化と音韻長が影響を与えており,スペクトルの変化とゲインのダイナミックレンジはあまり影響を与えていないことが明らかになった.