著者
柴草 良悦 松下 彰夫
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.89-94, 1962-06-01

The islet of Kamuishu, one of the most myaterious places in Akan National Park, lies near the center of Lake Mashu (351m). It is located at 43°34′37″NL and 144°31′53″EL. Up to the present, no investigation has been reported on the vegetation of this islet. Fortunately, the writers had an opportunity to research the vegetation of this islet during the 22nd to 24th of June in 1960. The islet is composed of Quartz Andesite, in an emerged part of a central cone of the Mashu Caldera. It is surrounded by cliffs and in the northeast to south side is a steep cliff (15〜25m) which faces directly the lake. There is a rather narrow gravel shore extending in south-west to west direction in front of the cliff. The humus layer of the islet measures only 5〜10cm in the deepest part. The vegetation is mainly composed of the mixed forest dominated by Betula Ermani and Abies sachalinensis, the height of which ranges from 2 to 13m. Generally, the forest floor if covered by the shrub layer(1〜2m) dominated by Rhododendron dauricum and associated with Rhododendron Tschonoskii, Acer Ukurunduense, Menziesia pentandra, Leucothoe Grayana var. jezoensis. Sometimes Hydrangea paniculata var. intermedia forms a pure society. On the other hand, the herb layer is rather poor in species and number. The topography of this islet is not so convenient for research on the vegetation. Only two belt-transects, namely[a]and[b], and one quadrat (5m×5m), namely[A], were taken. Belt-transect[a]shows the cross section of the vegetation ; Belt-transect[b]the longitudinal section ; and Quadrat[A]situated in the Abies sachalinensis grove is the special community on this islet.
著者
柴草 良悦 木俣 聰彦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.393-397, 1976-11-25

芽の内部構造の変化からトドマツの自発休眠の開始時期を調べ, また1975年11月7日(自発休眠中)と12月22日(他発休眠中)に採取したトドマツの芽の原基体をα-ナフタレン酢酸(NAA)を添加したMS培地で無菌的に培養して, NAAに対する生長反応から休眠の深さを洞察しようと試みた。自発休眠は, 葉原基およびクラウンの完成後, 9月中旬に始まると考えられる。12月22日に採取した芽の原基体の葉原基は, 11月7日に採取したものより盛んに発達し, また11月7日より12月22日においては, より低濃度のNAAで葉原基は発達した。また, 培養した芽の原基体の軸長は, 低濃度のNAAにおいてわずかに大きかった。クラウンの下部の切り口面より発達したカルスは, 11月7日と12月22日の間でその形成において差は認められなかったが, 両区とも高い濃度のNAAにおいてよかった。培養の際, 他発休眠中の芽の原基体は自発休眠中のものより, 軸や葉原基の上部の細胞伸長の点で, NAAに対する反応が著しかった。
著者
柴草 良悦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.199-206, 1972-06-25

生長休止期の22〜23年生トドマツの葉を1970年1月19日と1971年3月5日の2回採取し, その中にある生長抑制物質を調べた。1.1970年1月19日のトドマツの葉においては, 酸性区分と中性区分にサリチル酸と推定される物質が存在する。また, 不確実ではあるが, 酸性区分に, p-オキシ安息香酸, バニリン酸, 中性区分にp-オキシ安息香酸と推定される物質が存在する。2.アベナ伸長試験において, 合成のサリチル酸は, 濃度1〜500ppmで抑制作用を示すが, 合成のp-オキシ安息香酸とバニリン酸は, 約1〜100ppmで促進作用を示す。生長抑制物質の種類によっては, 低濃度で生長促進作用を有することは注目される。3.1971年3月5日の葉においては, 酸性区分, 中性区分に多量の生長抑制物質が認められるが, 前実験で見られたフェノール化合物はなかった。生長休止期の生長抑制物質は, 質的にも変化していることが予想される。本実験の酸性区分の生長抑制物質について幾つかの実験を行ない, 以下のことがわかった。1)Rf0.50〜1.00の生長抑制物質(inhibitor-β)は, アベナ伸長試験において, 濃度を増すにつれて直線的に抑制作用が強くなる。しかし, Rf0.10〜0.50の生長抑制物質は, 低濃度では生長促進作用を示し, 高濃度では生長抑制作用を示す。2)inhibitor-βは, トドマツ苗木の秋伸びを抑制する作用がある。また, Rf0.10〜1.00の生長抑制物質も, エゾマツ種子の発芽を抑制する作用を有している。3)inhibitor-βと合成IAAの相互作用をアベナ伸長試験で調べた。IAAがinhibitor-βの強い抑制作用を弱めることはあまりできない。この事実から, 植物の休眠を破ったり生長を開始することは, IAAの増加より生長抑制物質の減少が関係するように考えられる。
著者
柴草 良悦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.341-345, 1973-11-25

生長休止期である1972年12月12日に採取した24年生トドマツ葉の生長抑制物質を調べた。その結果, アベナ伸長試験で強い抑制作用を有する生長抑制物質のひとつは, 薄層クロマトグラフィー, ガスクロマトグラフィーによって, アプサイシン酸であると試験的に同定された。