著者
島田 智人 柴﨑 茜 前島 秀明 浅野 亘
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.207-215, 2023 (Released:2023-09-30)
参考文献数
26

ニホンナシ花粉の国内自給率向上のため,花粉採取効率を向上させる技術を検討した.腋花芽利用品種における樹形は,低樹高で主枝先端を隣接樹にジョイント接ぎ木する低樹高ジョイント仕立てが,直線的な樹形であることや,花蕾採取作業に脚立を要さないことなどから,立木仕立ておよび,棚仕立てより時間当たり花蕾採取量が多く,採取効率が向上した.また,低樹高ジョイント仕立ては,株仕立てや,低樹高でジョイント接ぎ木を行わない場合より,中庸な新梢の発生が多く,樹列当たりの花芽数が多くなることが明らかになった.採取方法は,選択採取より一斉採取が,3分咲きや7分咲きより5分咲きでの採取が,時間当たり純花粉採取量および花粉発芽率の点で効率的であることが明らかになった.また,‘新興’における5種の植物成長調節剤の効果を検討したところ,ジベレリン生合成阻害剤であるダミノジッド,パクロブトラゾール,およびエチレン活性剤であるエテホンの処理が,腋花芽着生率に有効であることが確認された.