- 著者
-
柿崎 裕彦
- 出版者
- 愛知医科大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2009
目的:本研究は、ミュラー筋の水平方向の延長と眼球周囲平滑筋との連続性を調べることを目的とした。使用標本:10%ホルマリンで固定された日本人の20眼窩(右10眼窩、左10眼窩)。男性8例、女性8例で、年齢は61歳から93歳、平均年齢は78.4歳であった。方法:眼窩縁を360度切開し、骨膜を眼窩先端部まで剥離する。神経、血管や鼻涙管などの骨壁から出ている構造を切開する。眼窩外側壁をはずし、眼窩縁から3cm後方までの眼窩組織を取り出す。その眼窩組織を上眼瞼縁から15mm上方と眼球の3時、9時を含む面で切る。作成された標本は脱水の後、パラフィン処理し、7μmの厚さで切り、マッソントリクロームで染色した。Masson Trichrome.結果:全ての標本でミュラー筋は内側、外側へ伸びていた。内側では、平滑筋を含む内直筋のプリーへ連続していた。外側では、涙腺眼瞼部の被膜を経由して、外直筋のプリーへ連続していたが、12標本では後部で直接に外直筋のプリーへ連続していた。結論:ミュラー筋は内側、外側へ延びて、眼球周囲平滑筋ネットワークに連続していた。本研究によって、ミュラー筋は上眼瞼での独立した構造ではなく、眼球周囲平滑筋ネットワークの一構成要素であることが明らかになった。