著者
柿本 翔大 松原 克弥 高瀬 英希
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.51, pp.1-7, 2023-03-16

ロボットソフトウェアの開発において,Robot Operating System(ROS)の利用が拡大している.ROS は,クラウドサーバと連携した分散型のロボットシステムの構築にも有用であるが,各機能モジュールであるノードの配置はシステム稼働前に決める必要がある.しかし,システム稼働前に推測困難な状況変化により,システム起動時に決めたノード配置が最適でなくなる可能性がある.さらに,クラウドとロボットでは,CPU アーキテクチャが異なる場合が多く,稼働中のノードを実行状態とともにクラウド・ロボット間で再配置することは技術的に難しいという課題がある.本研究では,ROS ノードの動的配置機構の検討を目的として,組込みデバイス向け ROS 2 ランタイム実装である mROS 2 を WebAssembly ランタイム上で動作させることで,アーキテクチャ中立な ROS ノード実行状態を実現する.本稿では,mROS 2 を WebAssembly 上で動作させるために実装すべき機能を明らかにして,WebAssembly 化による実行時性能への影響を実験結果により示す.