著者
高瀬 英希 細合 晋太郎 福田 竜也 高田 光隆 久保秋 真 森 崇
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.399-402, 2023 (Released:2023-05-20)
参考文献数
12

We are conducting research and development of Hakoniwa, a virtual simulation environment in the age of IoT and cloud robotics. This research aims to deploy the core functionality of Hakoniwa for simulation of ROS 2 applications. The proposed method mainly consists of Docker and Unity, and allows engineers to easily try out robot development as many times as they wish on multiple platforms independent of OS environment.
著者
高瀬 英希 田中 晴亮 細合 晋太郎
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.724-727, 2023 (Released:2023-10-25)
参考文献数
13

We are conducting research and development of mROS 2, that is an agent-less and lightweight runtime environment for ROS 2 node onto embedded devices. In this paper, we make the communication protocol stack of mROS 2 compliant with POSIX (Portable Operating System Interface). Since POSIX is a unified interface standard for operating systems, this work enables mROS 2 to operate easily onto Ubuntu OS, that is the default platform for ROS 2. We implemented the proposed method on Ubuntu 20.04 running on Raspberry Pi 4B. Experimental result showed that our research outcome could improve communication performance than the native ROS 2 environment.
著者
細合 晋太郎 高瀬 英希 出分 卓矢 菊地 俊介
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.54, pp.1-7, 2023-03-16

著者らは,並行性能および堅牢性に優れた関数型言語 Elixir の ROS 2 クライアントライブラリである Rclex(https://github.com/rclex/rclex)の研究開発を OSS にて進めている.現行の Rclex は ROS 2 がインストールされた実行環境を想定しており,ROS 2 および 64 ビットの Ubuntu に強く環境依存している.本研究では,Rclex の移植性の向上および適用範囲の拡大のため,Elixir の IoT フレームワークである Nerves への対応に取り組む.具体的には,ROS 2 環境が整備された Docker イメージから,Rclex の実行に必要なライブラリを Nerves のファイルシステムに配置できるようにする.Rclex 環境を含む Nerves ファームウェアのビルドについては,専用の Mix タスクを提供し,通常の Elixir プロジェクトの開発と同じ流儀で実行できるようにする.産業用リアルタイム OS コントローラである e-RT3 Plus を用いた活用事例を示し,さらに定量的評価では Nerve s対応が通信性能に大きな影響を与えないことを確認する.本研究の成果である Rclex on Nerves によって,Rclex の適用範囲を IoT デバイス向けに拡大させることができる.Elixir 技術者にとって ROS 2 の通信技術の導入を容易化させるだけに留まらず,ROS 技術者にとっても最小限かつ堅牢性の高い ROS 2 プラットフォームを構築できることに貢献する.
著者
高瀬 英希
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.440-441, 2020-04-15

「組込みシステム」は,各種の情報機器に組み込まれて,特定の機能を実現するための制御を行うコンピュータシステムである.古くは1980年代頃から使われていたこの研究対象について,出自や歴史を紐解き,また近年取り巻く潮流を俯瞰し,組込みシステムはどこから来てどこへ向かうのかについて思索を巡らせてみる.そして,近年の問題領域の複雑化に対応するためにSIGEMBの有志でまとめた「湯河原宣言2018」を紹介する.これらを踏まえた上で,研究領域と課題が多岐に渡るITシステムである組込みシステムの30年後のあるべき姿はどのようになっているのかを予想してみたい.
著者
高瀬 英希 冨山 宏之 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.558, pp.109-114, 2008-03-20

本研究では,マルチタスク環境にスクラッチパッドメモリを活用することにより,組込みシステムの命令メモリにおける消費エネルギーの削減を目指す.固定優先度付きの周期タスクが複数存在するシステムに対応した,スクラッチパッドメモリ領域分割方針を提案する.提案するスクラッチパッドメモリ領域分割方針は,領域分割法,時間分割法,および混合分割法の3種類である.各方針について,タスクごとの領域分割およびコード割当てを同時に決定可能な整数計画問題として定式化する.評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
柿本 翔大 松原 克弥 高瀬 英希
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2023-EMB-62, no.51, pp.1-7, 2023-03-16

ロボットソフトウェアの開発において,Robot Operating System(ROS)の利用が拡大している.ROS は,クラウドサーバと連携した分散型のロボットシステムの構築にも有用であるが,各機能モジュールであるノードの配置はシステム稼働前に決める必要がある.しかし,システム稼働前に推測困難な状況変化により,システム起動時に決めたノード配置が最適でなくなる可能性がある.さらに,クラウドとロボットでは,CPU アーキテクチャが異なる場合が多く,稼働中のノードを実行状態とともにクラウド・ロボット間で再配置することは技術的に難しいという課題がある.本研究では,ROS ノードの動的配置機構の検討を目的として,組込みデバイス向け ROS 2 ランタイム実装である mROS 2 を WebAssembly ランタイム上で動作させることで,アーキテクチャ中立な ROS ノード実行状態を実現する.本稿では,mROS 2 を WebAssembly 上で動作させるために実装すべき機能を明らかにして,WebAssembly 化による実行時性能への影響を実験結果により示す.
著者
高瀬 英希 上野 嘉大 山崎 進
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2018-EMB-48, no.5, pp.1-8, 2018-06-22

2012 年に登場した Elixir は,Erlang VM 上で動作する関数型言語であり,分散システム対応でスケールしやすく,軽量で耐障害性が高いという特徴がある.習熟容易性および開発生産性が高く,並列処理のプログラミングが容易に実現できる.Elixir の Web アプリケーションフレームワークとしては Phoenix が知られている.本稿では,IoT システムの構築における Elixir の有用性を議論する.IoT システムにおいて多く採用される IoT ボードに Elixir / Phoenix の実行環境を整備し,種々の性能を評価できる動作するベンチマークスイートを用意する.これによって各種 IoT ボードにおける Elixir / Phoenix の実行性能を基礎評価し,IoT システムへの導入に向けた有用性を定量的に議論する.評価の結果,Elixir の並列処理性能は IoT システムにおいても発揮されること,Phoenix サーバについても IoT システムに十分な応答性能を得られることが示された.
著者
今西 洋偉 高瀬 英希
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2020-ARC-240, no.48, pp.1-8, 2020-02-20

ROS 2(Robot Operating System 2)はアプリケーションの処理単位であるノードを複数組み合わせることでロボットシステムを構築する開発支援フレームワークである.2012 年に登場した関数型言語 Elixir は,軽量なプロセスモデルと耐障害性を兼ね備えている.我々は ROS 2 による分散ロボットシステムと Elixir のプロセスモデルとの親和性が高いと考えている.本研究では Elixir による ROS 2 のクライアントライブラリを提案する.ROS 2 における出版購読通信機能を提供する Elixir の API を設計し,これによって分散ロボットシステムのスケーラビリティの向上を図る.さらに Elixir のスーパーバイザを導入することで耐障害性を持たせた.提案手法を実装してその性能を評価し,ROS 2 アプリケーションにおける Elixir の適用可能性および技術課題を明らかにする.
著者
高瀬 英希 冨山 宏之 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.559, pp.109-114, 2008-03-20

本研究では,マルチタスク環境にスクラッチパッドメモリを活用することにより,組込みシステムの命令メモリにおける消費エネルギーの削減を目指す.固定優先度付きの周期タスクが複数存在するシステムに対応した,スクラッチパッドメモリ領域分割方針を提案する.提案するスクラッチパッドメモリ領域分割方針は,領域分割法,時間分割法,および混合分割法の3種類である.各方針について,タスクごとの領域分割およびコード割当てを同時に決定可能な整数計画問題として定式化する.評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
森 智也 高瀬 英希 高木 一義 高木 直史
雑誌
研究報告システムとLSIの設計技術(SLDM) (ISSN:21888639)
巻号頁・発行日
vol.2018-SLDM-183, no.27, pp.1-6, 2018-02-28

我々は,Linux を搭載できない消費電力の小さな組込みデバイスのための ROS ノード軽量実行環境である mROS の開発に取り組んでいる.本研究では,mROS におけるデバイス内のノード間通信を高速化する手法を提案する.従来の TCP ソケットを使用したデバイス内ノード間通信は効率が悪いため,タスク間で共有メモリを介したデータ通信を実現する.mROS 内のノード間通信を効率化することで,エッジデバイスにおける処理の高速化が実現できる.提案手法を mROS に実装し,ノード間通信時間について評価することで,提案手法の有効性を示した.さらに本稿では,分散ロボットシステムの開発事例を示し,mROS の有用性を考察した.
著者
高瀬 英希 祐源 英俊
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB) (ISSN:2188868X)
巻号頁・発行日
vol.2022-EMB-59, no.37, pp.1-8, 2022-03-03

分散型のロボットシステムにおけるエッジデバイスの応答性やリアルタイム性の向上および消費電力の削減などへの期待から,ROS 2 への組込み技術の導入に注目が集まっている.本研究の目的は,組込みデバイス向けの高効率な ROS 2 通信方式およびメモリ軽量な実行環境を確立することである.提案する実行環境である mROS 2 は,主に組込み向けの軽量プロトコルスタックおよびリアルタイム OS から構成される.最大の利点は,ホストデバイス上の ROS 2 ノードとの通信において,既存の環境では必須であった仲介の役割を担う Agent ノードを不要にできることである.本研究では,目的の実現に求められる設計要件を整理し,効率的な通信処理を実現するためのソフトウェア構成および動作フローを設計する.また,mROS 2 通信ライブラリとして提供する API は,汎用 OS 向けの ROS 2 のクライアントライブラリと互換性を保つようにする.提案手法を STM32 NUCLEO-F767ZI ボード上に実装し,本研究成果が通信性能に優れた分散ロボットシステムの実現に貢献することを示す.
著者
山崎 進 森 正和 上野 嘉大 高瀬 英希
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.15, 2019-01-30

ElixirではFlowというMapReduceの並列ライブラリが普及している.Flowを用いると簡潔な表現でマルチコアCPUの並列性を活用できる.我々はFlowによるプログラム記述がGPGPUにも容易に適用できるという着想を得て,OpenCLによるプロトタイプを実装した.現行のGPUで採用されるSIMDでは,単純な構造で均質で大量にあるデータを同じような命令列で処理する場合に効果を発揮する.一方,Flowでは,そのようなリストに対し一連の命令列で処理する.そこで,このような命令列と,リストを配列化したデータをGPUに転送・実行することで高速化を図る手法,Hastegaを提案する.そこで,ロジスティック写像を用いたベンチマークプログラムを開発し,期待される性能向上を評価した.Mac ProとGCEで評価した.言語はElixir,Hastega,Rust,Pythonで比較した.その結果,次の3つの結果が得られた:(1) HastegaはElixir単体のコードと比べて4.43~8.23倍高速になった(2) HastegaはRustと比べて,1.48~1.54倍程度遅くなっただけである(3) HastegaはPythonのコードと比べて,3.67倍高速である.今後,本研究で得た知見を元にLLVMを用いてコード生成器を含む処理系を開発する予定である.
著者
高瀬英希 細合晋太郎 岡山直樹 喜多真琴 後藤文康 谷口一徹 長濱みほ 星野利夫 宮崎秀俊
雑誌
組込みシステムシンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.151-152, 2014-10-15

LED-Camp は,組込みシステム分野の学生および若手社会人を対象とした合宿形式の教育実習である.本企画では,モデル駆動開発やアジャイル開発手法といった,組込みソフトウェア開発に関する最新技術を体験でき,チーム形式で組込みソフトウェア開発を実践することができる.本稿では,2014 年 8 月に実施した LED-Camp2 におけるカリキュラムを紹介し,その実施速報について報告する.
著者
一場 利幸 森 孝夫 高瀬 英希 鴫原 一人 本田 晋也 高田 広章
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.387-399, 2012-03-01

複数のプログラムが並列若しくは並行動作する環境では,プログラムの実行順序に依存してパスが定まる分岐が存在することがある.ソフトウェアテストでは分岐を網羅することが求められ,プログラムを繰り返し実行する手法が考えられるが,特定のパスを決定的に実行することができない.また,プログラムの実際の実行順序を知ることが困難であるため,実行順序に依存する分岐に関するテストを効率的に行うことができない.本論文では,テストプログラムからプロセッサの実行を制御することで,プログラム中の特定のパスを決定的に実行する機構を用いたテスト効率化手法を提案する.提案手法により,マルチプロセッサ向けリアルタイムOSであるTOPPERS/FMPカーネルにおけるプロセッサの実行順序に依存したパスを全て決定的に実行することができ,テストの効率化が可能であることを確認した.